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Monday, November 09, 2009

映画『THIS IS IT』

【11月9日特記】 映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』を観てきた。

いつも書いていることだが、僕は主に監督で映画を選んでいるし、映画は基本的に監督のものであると思っている。

それは音楽映画の場合でも全く同じで、例えばあのザ・ローリング・ストーンズの『シャイン・ア・ライト』にしても、ミックやキースの個性がどんなに強烈であってもやはりマーティン・スコセッシの作品だという感じがするし、また、そういう感じがなければ映画としてはダメなのではないかと思ってきた。

ところが、この作品は違った。これはもうどうしようもなくマイケル・ジャクソンの映画である。マイケルを中心にして、そのマイケルに対する求心力を見せつけてくれる映画であった。

映画の中で発せられた台詞、

Church of Rock'n'roll !

まさにそんな感じかもしれない。いや、僕はもっとなんか濃いものを感じた。まるで彦麻呂みたいでバランスの悪い表現ではあるが、

ロックンロールの胎蔵界曼荼羅

大日如来を中心として周りをぎっしりと取り囲んだ、そんな感じ。

まず、驚いたのは、マイケルはあんなステージ衣装に近い出で立ちでリハーサルすんのか、ということ。カメラが回っていたからかもしれないが・・・。

いずれにしても、最初から「作品」に仕上げる気がなければリハの時からあんなにカメラが回っているはずがない。

ということは、監督にしてみれば、完成間近にしてその作品の主役が突然死んでしまった訳で、その絶望感たるや如何許りであったかと思いやられる。それだけに、この作品を何が何でも仕上げるぞ、そして、みんなを感動させてやるぞ、という執念が生まれたのではないだろうか。

とてつもなくしんどい作業ではあったろうが、この映画の編集作業は同時にめちゃくちゃ楽しい、充実感のあるものではなかったかと想像する。4人の編集マンの名が並列で記載されていたことが印象深い。

ハンディ・カメラも画面に映り込んでいたが、しかし、それにしてもリハ中にあの狭い空間にカメラが入り込んだとは考えにくいので、一部で指摘されている通りドラムスのアップのシーンなどは後から別撮りして挿入したのかもしれない。

なにせ途中で主役がいなくなってしまった映像を後から編集させられたのである。そういうところもいくつかあって何の不思議もない。

これは紛れもなく、我々 PV にどっぷり浸ってきた世代、ベストヒット USA 世代、ポップスの黄金期を共有してきた世代の映画であると言えるが、何を措いてもともかくマイケルが凄い。

こんなに凄いのにマイケルが謙虚であるところが素晴らしい──などという指摘もあるが、それはマイケルの小さな魅力の1つにすぎないと思う。謙虚だからみんながついてくる/ワンマンだったらついて来ないというようなものではないのだ。カリスマがあるかどうか──カリスマがあればワンマンであってもみんなついてくるし、いくら謙虚でもカリスマがなければ誰もついて来ない。

謙虚さはマイケルなりの1つの「ありよう」であって、それを超えたところにもっともっと凄い、凡人には及びがたい何かがあるのである。そして、それはこの映画でこそ確認できるものだと思った。

映画を見ながら頭の中でそんな風にいろんな思念が交錯する瞬間と、全てを忘れて音楽と映像に没頭し、気がついたら体が揺れて足で拍子を取っているような瞬間と、その両方があった。これはそういう映画だと思った。

マイケルが中心にいて、その外側にバンドやシンガーやダンサーがいて、そしてその外側には照明や舞台のスタッフがいて、さらにその外側には映画のスタッフがいて、最後にそれを我々観客が取り囲んでいる。そして、その全てがマイケルを中心とした同心円状に並んでいて、しかもみんな踊っているのである。

なんという美しい光景か!

そして、この何重もの同心円の中にいた人間の中から1人でも2人でも次代のスターが出てくれば良いなあ、と、マイケルがそんなことを思っていたかどうかは知らないが、僕はそんな風に思ったのである。

良い映画であった──という表現は少し違う気がする。やっぱり MJ はスーパースターだったんだ、と、もう充分知っているはずのことを改めて確認した作品だった。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

アロハ坊主の日がな一日

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