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Sunday, July 26, 2009

映画『アマルフィ 女神の報酬』

【7月26日特記】 映画『アマルフィ 女神の報酬』を観てきた。フジテレビ開局50周年記念映画。たまにはそういうのも良いかな、ってな軽い動機で見に行ったのだが、大変良く撮れていてまさに脱帽であった。

ともかく原作のベストセラー小説がある訳でもなく、TVで当たったドラマを映画化する訳でもなく、いきなりこういうオリジナル作品を、全編イタリア・ロケで、しかも社員監督でやってしまう辺りが如何にもフジテレビらしい。却々できることではない。

で、パンフを読むと真保裕一による原作小説があることになっているが、これは結果論であって、そもそも何もないところから真保裕一に依頼してプロットを書かせたのだという。しかも、主演・織田裕二への当て書き。

で、映画のストーリーが固まった時点で、捨てたプロットも拾い集めて小説にしたと言うから驚きである。で、そのストーリーをチームプレーで脚本化したということなんだろうけれど、この映画には「脚本」のクレジットがどこにもないのである。この常識外れ具合もすごい。

で、サラ・ブライトマンの歌をバックにいきなり映画が始まって(なんでサラ・ブライトマンなんだ?という思いは最後の最後まで拭えなかったが)、鍵をもらってホテルの部屋に入って行くのだが凡そ夫婦には見えない2人(織田裕二と天海祐希)のシーンが最初にある。

なんだかよく解らないまま見ていると、その後すぐに1日前のシーンに戻る:

黒田(織田裕二)はテロから法人を守る特務を負った外交官であり矢上(天海祐希)は黒田とは無関係な旅行者だった。母娘でイタリアにやって来た矢上の娘が誘拐され、身代金要求の電話がかかって来た時にたまたま居合わせた黒田が「父親だ」と名乗ってしまったためにその後も矢上のホテルに留まっていたのである。

観客に対するこの辺の説明の仕方が非常に手際が良い。短いシーンで過不足なく描いているので、観客はスピード感を保ったままどんどんドラマに没入できる。おっ、これは良い脚本だ、と思わず膝を打っただけにスタッフロールに「脚本」の文字がなくて2度びっくりした。

いずれにしても非常に良くできた脚本だと思う。展開が速く、人間を描くにもあまりしつこい仕掛けはしない。全体に余計なものが少ない構成である。で、程よいところで犯人の見当もついてくる(この「程よい」というところが大事)。

最後の犯行の動機のところで結局如何にも日本人好みのウェットなことになっちゃったのが少し残念ではあったが・・・。(僕としては、背後にそういう私怨めいた話はあっても良いけど、あくまで犯行の動機はイデオロギー的なもの、みたいな形にしてほしかったのだが、しかし、そういう話にしたほうが今の日本ではきっとリアリティが感じられないんだろうなあ)

そして、カメラもすごい。イタリアまで行ってロケするだけの値打のある映画になっている。イタリア政府観光局が喜びそうな名所旧跡オンパレードになっているのだが、決して「ビューティ・ショット」みたいな撮り方になっていないのである(まあ、街の全景に対するものすごい空撮はあったりするのだが・・・)。

風景はあくまで「借景」になっていて、前面でしっかりとドラマが展開されている。でも、逆に風景は決しておまけなんかで終わってはいない。イタリアへ行かなければ撮れない映像作品ができあがっている。あっぱれである。

一番びっくりしたのは終盤の大使館のパーティでの事件のシーンをばっさりとカットアウトしてしまったところ。なるほど、そういう考え方、編集の仕方があったのか、と驚いた。これはこれで奏功していたと思う。

もちろんこの手の映画の常として「突っ込みどころ」はあちこちにある。が、映画の中で具体的な説明はないけれど、都合の良すぎる部分は「外交官特権」によるものだと理解すれば良いのではないかな(笑)。

よく練られたストーリーであり、展開が速くて人物も良く描けているし、その背後に圧倒的な風景があったりするなど、いろんなところで結構楽しめるのである。僕はあまり細かいところに拘ることなく最後まで一気に観られたという感じがする。

織田裕二が演じた黒田康作という人物、なかなか面白いキャラである。これシリーズ化できるよね。次回作を観てみたいと言う客も多いのではないかな?

重めの芝居が多い中、戸田恵梨香がしっかりとアクセントになっていたのも良い脚本だと思った所以である。

ちょっと手放しで褒めすぎかな? でもこれだけの贅沢感が出せれば娯楽映画としては大成功ではないかと思う。

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