1Q84
【6月22日特記】 いつも書評を投稿しているオンライン書店ビーケーワンに『1Q84』の書評を上げました。
私は本を買ってしまってから読み終えるまでの間、いや書評を書き終えるまでの間は、他人の書評を滅多に読みません(特定の方の書評を読んで、その本を買うかどうかの参考にさせてもらうことはありますが)。
で、今回は予約で買って届いてすぐに読みだしたので、他の人がどんな感じ方をしているのか全く知らないまま書評を書き、「ここのところの村上の小説の中では飛び抜けて面白い」などと結構褒めたのでした。
そして、多分他の人も同じような受けとめ方なんだろう(なにせこんだけ売れているわけだから)と思っていたのですが、bk1 に上がっている他の方の書評にざっと目を通してみてびっくり、相当ボロカスに貶したものがありますねえ。
あまりに驚いたので、普段は読まない Amazon の書評までチェックしてみたのですが、やはり「面白くない」「期待はずれだ」というような書評があります。
中には、「この本が面白いと言うような人がいたら、その人の教養が問われる」などというのもあります。
あらら、問われちゃいました。しかし、まさに「やれやれ」って感じですね。──やれやれ、自分で酷評するだけでは足りず、他人が褒めることさえ赦さないとは・・・。
ひょっとすると他人が自分と違う感覚を持つことを許さない宗教を信仰している人なのかもしれませんが、そうでないとしたらたかが1作の小説でどうしてここまでの憎しみと排他性が生まれるのでしょう?
しかも、酷評している書評の多くは非常に短くて、つまり何故ひどいのかという説明がなくて、ただ罵倒しているだけ。つまり、他人に何かを伝えようとして書かれた文章ではなく、自己のストレス発散のためだけに、あるいは何か特別な意図をもって村上春樹を攻撃するためだけに書かれた文章です。
この本は今まで村上春樹を読んだことがないどころか、そもそも小説というものを普段読まない人までもが手にしていると聞いてとても良いことだと思いました。
そういう人が村上春樹のファンになってくれれば、とまでは言いません。ただ、「ふーん、小説も結構面白いなあ」と思ってくれればなあ、と思ったのです。
根拠も示さずに罵倒しているだけの書評に混じって、私から見れば「なんか、変なところにこだわるんだなあ」と思う書評もあります。私が別にどうでも良いと思うことをその人は許せないらしく、それでこの小説はダメだという風に書いてあります。
面白いなあと思いました。ことほどさように人の感じ方は多様だということです。
ただ、私からすると、この小説はそういう多様性の襞の中に滑り込んで行けるような妙な普遍性を持った小説だと思うのですが、期待のしすぎですかね(笑)。
そう言えば、「村上春樹と言うだけで飛びついて買うような奴はバカだ」みたいな評もあったなあ。確かにそう言われると反論できません(笑)。そして、そう言われても別に貶されているような気がしないところが病膏肓に入った所以か(再笑)。
今まで村上春樹なんて読もうと思ったこともなかったのに、超ベストセラーと聞くとついつい買ってしまった奴と同じくらいバカかも(再々笑)。いや失礼。
結局は「濃いファンは大満足」という風にまとめられるんでしょうかね?
もう少し書評が出揃うのを待ちましょう。
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