卒業者名簿を棄てる
【6月30日特記】 僕は本棚1つに収まる分量しか本を所有しない主義で、溜まってくるとイーブックオフに売却したりして処分しているのだが、その本棚の上に僕が卒業した高校と大学の卒業生名簿が載っかっているのに気がついた。
いずれも昭和の時代に買ったものだが、改めて「ふーん、当時はそういう心境だったのか」と何だか感慨深かった。
自分と同じ高校や大学を卒業した人たちがたくさん有名企業に勤めていたりするのが、なんか嬉しかったんだろう。あるいは同窓のよしみでなんかの時には助けてもらえるかもしれないなんて思っていたのかもしれない。いずれにしても働き始めて間もない者の発想だ。
僕が変わってしまったのか、時代が変わってしまったのか、恐らくその両方なんだろうけど、今これらの本を眺めてみると、会ったこともない人の名前や住所や勤務先がずらずらと並んでいる、よそよそしい存在でしかない。
だいいち紙資料であるという不自由さに今の僕の感覚がついて行かない。
棄てることにした。
が、そのままポイという訳にも行くまい。何十年も前のデータだから死んでいる人も少なくないだろうし、地名や社名が変わっていたり引っ越していたりで使い物にならないデータも多いのだろうが、そうは言っても個人データの塊である。そのまま棄てるには抵抗がある。
さりとてわざわざ綴じ目をほどいて、何枚かずつシュレッダに突っ込むほどの手間をかける気にはならない。
それで手で破くことにした。1ページを8分するような感じで。まずは綴じ目に遠いほうの半分だけ裂く。その作業をページ間隔を適当に取りながら何週かに分けて行い、何週かに分けて棄てる。
何かの役に立つと思って少なからざる人が購入した名簿が、今や厄介物である。そんなもんだろう。
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