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Sunday, May 31, 2009

映画『ウェディング・ベルを鳴らせ!』

【5月31日特記】 映画『ウェディング・ベルを鳴らせ!』を観てきた。なかなか関西に来なかったので随分待った。僕が親しみをこめて勝手に「クストリッつぁん」と呼んでいるエミール・クストリッツァ監督の最新作である。

WOWOW で観た1995年の『アンダーグラウンド』で完全ノックアウトを食らい、その次の『黒猫・白猫』は当然飛びつくようにして観たものの、それ以降機会がなくて彼の作品を観ていなかった。僕にとっては10年ぶりの再会である。

なんと言ってもこの躍動感。全編ほとんど鳴りっぱなしの音楽の躍動感、そして映像の躍動感。それを突き動かしている人物の躍動感。生と性への良い意味での執着。この大らかでポジティブな感じ。それらを体現するカラフルな画面。

──こういったものはやはりクストリッツァ監督ならではと言えるだろう。

日本の昔話に材を得たというストーリーはとても単純。セルビアの山奥に住む16歳のツァーネが祖父に言われて牛をつれて街に出る。使命は3つ。

  1. 牛を売ってイコンを買うこと
  2. 自分のためのお土産を買うこと
  3. お嫁さんを見つけること

街にはマフィアがいる。祖父の友人の孫である奇妙な靴屋兄弟がいる。そしてツァーネがひと目惚れしてしまった女学生ヤスナーがいて、この3組のメインの登場人物があちこちで繋がってハチャメチャな展開になる。

一方、ツァーネの田舎には祖父がいて、祖父との結婚を夢見てきた巨乳の女教師ボサがいて、都会からボサを何度も訪ねてきて結婚を迫る役人がいる。だから、こっちはこっちでやはりドタバタが展開される。

皆が風変わりと言うか、脳天気と言うか、あるいは単に明るくて個性的でポジディブと言うか、ともかくめちゃくちゃ特徴的な人物(及び動物)ばかり出てくるので、その展開は一筋縄では行かない。

ただし、今回の映画ではあの『アンダーグラウンド』のような政治的な色合いがない、と言うか、かなり薄い。いや、決して政治的な要素を消し去っている訳ではないのだが、それはむしろファン・サービス的に随所にあしらわれている。

だから、その分少し毒がない。凄みがない。ただのドタバタになって、反骨的なものが顔を出さない。それが少し残念だった。

ただ、セルビアなんて国は我々日本人とはほとんど接点のない国であり、時にそんな国の卓越した表現者の仕事を観るのはとても意味のある「脳の掃除」になるような気がする。

単なるドタバタ喜劇のくせに妙に刺激を感じるところがやはりいつものクストリッつぁんなんだと思う。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

Swing des Spoutniks
Days of Books, Films & Jazz
犬儒派的牧歌
かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY

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