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Sunday, April 05, 2009

映画『ドロップ』

【4月5日特記】 映画『ドロップ』を観てきた。品川庄司の品川ヒロシの作・演出である。僕は知らなかったのだけれど、最初に品川が小説を書き、それを鈴木大が漫画にし、今度はそれを品川自身が自分で脚本を書いて映画にしたのだそうだ。

当初あんまり観る気はなかったのだが、ヒットしているらしいし評判も良いので映画館に足を運んでみた。

観客の9割以上が中高生、8割以上が女性、この回の上映ではひょっとしたら僕が最高齢者かもしれない。こりゃ居心地悪かったぞ。

で、彼女たちは何を目当てに来ているかと言うと、狛江北中学のカリスマ不良・達也を演じたヒロ君こと水嶋ヒロなのである。絢香との婚約発表もなんのその、である。確かに男の眼から見ても水嶋ヒロは格好良かった。

その水嶋ヒロをはじめ、品川の分身である信濃川ヒロシ役の成宮寛貴、達也の片腕・森木役の波岡一喜、ヒロの彼女・みゆき役の本仮屋ユイカ、ヒロシの姉・ユカの中越典子、ユカの彼氏でとび職のヒデオ役の上地雄輔、ヒデオの同僚・小野役の宮川大輔、そして達也の父親で元ヤクザ現タクシー運転手の遠藤憲一と、誰を取っても出演者が一様に素晴らしい。

この映画の成功の最大の要因はキャスティングにあると思う。

ストーリーは単純である。不良にあこがれて私立中学から公立中学に転校してきたヒロシ。いきなりその中学のカリスマ不良・達也とタイマン張る破目になってボコボコにされるが、その後すぐに彼らの仲間となって、毎日喧嘩に明け暮れながら、そのうちの何人かとも結局仲間になり、優しい家族や兄貴分たちに見守られながら成長して行くというお話である。

残念ながらそこに描かれているのは非常に薄っぺらい世界観である。多分これが品川の人生観/世界観なのだと思う。だが、そういう根本的な問題を抜きにすればびっくりするほど上手に撮れている。

薄っぺらいなりによく書けた脚本である。漫才から抜いてきたような笑わせ所を散りばめながら、全編喧嘩のシーンだらけなので飽きそうなものだが巧く飽きないようなエピソードの重ね方をしている。会話は非常に生き生きしていて良い。

初っ端に河原での喧嘩を真上のクレーン・カメラから収めて驚かせてくれたり、人物が漫画の絵に重なって、その漫画のページをパラパラとめくって時間を飛ばすという面白い編集があったりするかと思えば、2ショットの台詞のやり取りを長廻しで押えたり(この演出にまた役者たちが見事に応えている!)、カメラワークも非常にバラエティに富んでいる。

特にアクション・シーンはCGを排してスタントもあまり使わずに撮ったらしいが、途切れのない殴り合いや、俯瞰+ロングの画の全面あちこちで殴り合いが展開されているなど、これは半端ではない玄人の技である。

そういうことに加えて、前述の通り役者たち一人ひとりが本当に好演しているので、人物に息吹が与えられて非常に良い映画になったと思う。

さて、こんなに器用に映画が作れてしまって、この先、品川ヒロシはどうしたいのだろう? ビートたけしになりたいのだろうか? いや、残念ながら品川にはたけしのような度肝を抜く独創性や発想はない(それはこの映画1本を観ただけで判る)。底が浅いのである。

最近では板尾創路や木村祐一など吉本出身の監督も増えているが、板尾も木村も単なる芸人ではなく圧倒的な存在感を持つ怪優である。そういう凄みが品川からは感じられない。

ウチのクイズ番組で彼を起用していた時には「お笑いのくせに、自分に何が求められているかを理解せず、しゃあしゃあと正解を答えてしまう」などと苦言を呈される向きもあった。

結局いろんなところに才能があって、しかし、そのうちのどれかを徹底的にとんがらせることができない器用貧乏が品川なのではないだろうか。

しかし、周りの女子中高生は大喜びであった。「面白かったなあ!」と右側の2人組が喜んでいた。それを否定する気はない。おじさんだって面白かった。

この映画は殴り合いのシーンで客席から「痛っ!」とか「カッコイイ!」などという悲鳴や歓声が上がる映画なのである。ならばそれで良いような気もする。

ただし、どっからどう見ても中学生には見えなかったのと、「人はそう簡単には死なねえんだよ」というキーになる台詞に反して、バットであんなに殴ったら間違いなく死ぬか大けがだと思うよ、ということぐらいが(世界観の薄っぺらさを抜きにすると)目につく欠点であった。

いやあ、本当に、こんなに完成度の高い映画だとは思わなかった。初監督とはとても思えない。びっくりしたし、面白かった。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

アロハ坊主の日がな一日

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映画[ ドロップ ]をヒューマントラストシネマ渋谷で鑑賞。 お笑い芸人・品川ヒロシの自身の青春小説を、自ら脚本と監督した[ ドロップ ]。本当に面白いのか。その目で確かめるために、とりあえず水曜日の入場料1000円dayに観に行ってきた。 成宮寛貴や水嶋ヒロというイケメンのW主演の影響だろう。高校生・大学生らのグループやカップルが多い。でも役柄とはいえこのイケメン二人が中学生という設定はないだろう。 ... [Read More]

Tracked on Sunday, April 12, 2009 17:36

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