映画『ヤッターマン』
【3月15日特記】 映画『ヤッターマン』を観てきた。
僕は世代的にはこのTVシリーズの中心的な視聴者ではない(もちろん観たことはあるけど、いつも観ていたという訳ではない)。だから、企画自体に対してそれほど思い入れはないのだけれど、三池崇史が撮るのであれば、という思いが僕を映画館に運ばせたのである。
で、こりゃ大正解! 面白いのなんのって。時々しか見てなかったけど、多分原作TVアニメのイメージと寸分違わない出来。で、原作の味を活かして、かつ映画としても非常に完成度の高い作品に仕上がっている。
映画はド頭から何の説明もなく激しい戦闘シーン。「いやあ、こりゃ、やられたなあ」っちゅう感じ。ほんでこのシーンでの特撮/CGのなんというスピード!
で、なんと言っても驚きは映画全編を通じてカメラが止まらないこと!
いや、もちろんカメラが静止しているシーンも当然あるんだけど、圧倒的大部分のカットでカメラが動いている。寄ったり、引いたり、回ったり、そして素早くカットが切り替わったり。別に動く必然性がないようなシーンでも微妙に寄って来たり遠巻きに回ってたりする。人が止まっているカットでは背景でメカが動いている。
──これは画作りの上では大変なことだ。パンフに紹介されている「画コンテが電話帳ほど厚かった」というエピソードを読んだだけでもその大変さが窺い知れる。その想定された角度/動きに合せてCGもセットも照明も役者も一斉に組織されて動かされることになるのである。
だからこそ、こんなダイナミックな画が撮れている。映画でしかできない技を展開しているし、映画作家にしか実現できない作品になっている。いやはや、あっぱれと言うしかない。
そして、もうひとつの驚きは音楽(所謂「劇伴」ですね)鳴りっぱなし。こんな映画も珍しいよ。ドロンボー一味の歌のシーンも良かったねえ。うん、良質のPVって感じ。いやいや、この映画は本当にショービジネスだという印象を受けたなあ。
で、オリジナルにあったギャグてんこもりで、あまり熱心な視聴者でなかった僕などは「おお、あったあった!」てな具合で楽しんだ楽しんだ。役者たちの動作まで含めて、キャラは見事に再現されている。
中でも生瀬勝久のボヤッキーは最高。笑える笑える。そして、深キョンのドロンジョ様のなんとエロっぽいことか。悩殺されてしまいましただ。発情してしまいましただ。計算しつくされた下ネタ連発──これも良かったねえ。
エンドロールの後「予告編だコロン」までついているサービス精神。いやいや、笑った笑った楽しかった。で、中にちょっとだけ切実な要素もしっかり混ざっていて、しかもそれが過剰でないところがよろしい。
ところで、こんなに褒めてるけど、年末の賞レースではきっと何も獲れないよ。だって、こんなバカバカしい映画、誰が選ぶかっつーの(笑)
実に堪能した。金かかってるし、しっかりした技量に支えられた作品。バカバカしいけどバカにはできない。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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