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Sunday, March 22, 2009

ドラマW『朝食亭』

【3月22日特記】 WOWOW から録りっぱなしになっていたドラマW『朝食亭』を観た。今春のシリーズ3本の中ではこれが一番良かったかな。江頭美智留の脚本がよく書けているのだ。

ロケ地から、舞台となっている場所は谷中、根津、西日暮里の辺りだということが判る。これは結構ポイントだと思う。いかにもこんな店があってこんな人たちが集っていそうな感じがするのである。そういう意味では、舞台選びの時点でもうこの企画は成功しているとも言える。

そして、その谷中の辺りに「朝食亭」という食堂があって、そこで毎朝「朝一番会」という会合が催されている。

なんのこたあない、8人の常連客が7:30までに集合して開店の8:00までにみんなで朝食をするというだけのことなのだが、集まっている客は中学生と小学生の兄妹から「じいちゃん先生」と呼ばれる老人(大滝秀治)まで広い層にわたっている。

みんな単に料理の味と店主(蟹江敬三)や女将(竹下景子)の人柄に惚れて通って来ているのかと思いきや、それぞれにいろんな事情や思惑からここに集まっているということが徐々に判ってくる。

店主の息子・清彦(池内博之)は交通事故で亡くなっている。飲酒運転の轢き逃げである。この事故をきっかけに、元々「夕顔亭」であった居酒屋は「朝食亭」に名前を変えて、朝と昼しか営業しなくなってしまった。息子の命を奪った酒を供するのが嫌になったのである。

冒頭に清彦が轢かれるシーンがある。現場に最初に駆けつけた警官(的場浩司)もまたいつしか「朝一番会」のメンバーになっている。

清彦が轢かれる直前に美沙子(瀬戸朝香)と電話をするシーンがある。美沙子が「もう電話しないで。さよなら」と言って電話を切る。その直後に清彦は轢かれる。清彦の携帯はバラバラになって履歴は残らず、美沙子に渡すつもりだった婚約指輪がだけが現場に残されたのだが、両親は彼にそんな相手がいたことを全く知らない。

その美沙子も今や「朝一番会」のメンバーになっている。しかし、清彦との関係は伏せたまま参加していることが判る。

そして、上にも書いた通り、他のメンバーもそれぞれに事情やいわくがあるのだが、それがひとりずつ少しずつ明らかになってくる──その辺りが非常に巧い脚本なのである。

ただ、難を言うならやや図式的すぎる。

みんながみんな問題を抱えて心に傷を負い、でも、それを乗り越えて行く──という図式。悪い奴だと思われた奴が結局みんな良い人だ──という図式。そういうのはあんまり良くない、と僕は思うのである。

ただ、それぞれのエピソードの作り方が巧いんだなあ、これが。そして随所に、「おう、それは読み切れなかった!」という展開が用意してある。おまけに要所要所に良い台詞が散りばめられている。

病院の廊下で大滝秀治が「新しい水分を取って古い水分を追い出さないと血がどろどろになる」と言ってぐびぐび水を飲む。他のみんなも倣ってPETを開ける。大滝は続けて言う。「難しいけど、許して行かなきゃ」。

そこへ手術室から患者が運び出されてICUに向かう。それを見て弾けたように竹下景子が蟹江敬三からPETを奪ってぐいっと飲む。飲んだ容器を旦那に渡す。蟹江もぐいっと飲む。瀬戸朝香だけが口をつけずにボトルを置いて立ち去る。

こういうシーンの作り方が非常に巧い。ネタバレになるから書かないけど、前田愛がやった役柄も非常に良かった。ちょっと意表をついた見事な設定だった。お金にこだわるところも巧いキャラクター描写だと思った。

ほんでまあ、最後はここに収まるしかないという、ある種のハッピーエンド。ま、しょうがないかな、っちゅう感じ。

瀬戸朝香が左ききなのがちょっと。偏見に違いないのだが、左ききで包丁を握っているところを見ると、あまり一流の料理人になれそうな気がしないから。

結局良い話すぎるところが僕には物足りないのだが、江頭美智留の力量はよーく判った。

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Comments

江頭美智留の力量、とありましたが、原作の小説の方がもっといいですよ。ドラマはそれを何とかまとめたという感じで、物足りなさすら覚えます。

Posted by: ブンブン | Wednesday, March 25, 2009 at 08:53

> ブンブンさん。

あ、そうですか。原作からして素晴らしいんですか。
このドラマに限らず、原作読んでなくて見た人と読んでから見た人との間では常にこういう食い違いが生ずるんですよね。読んでないと全て脚本の力に見える(笑)。

> ドラマはそれを何とかまとめたという感じで、
> 物足りなさすら覚えます。

うん、でも、長い原作を2時間のドラマにどうやってまとめるかって、ドラマ化の際の最大のテーマですからね・・・。
問題はこの脚本のどこからどこまでがオリジナルだったかですね。もちろんオリジナルの割合が多いほど良い脚本だと言うわけではありませんが。

機会があったら原作も読んでみます。書き込みありがとうございました。

Posted by: yama_eigh | Wednesday, March 25, 2009 at 09:38

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