広さを求める
【3月11日特記】 月末に出張に行くので宿を取った。
「どうせ寝るだけなんだから何でも良い」という人もいるが、僕はそうではない。どうしても広い部屋を求めてしまう。
ひょっとすると、会社の寮を放逐されて14.25平米のワンルーム・マンション「TOP杉山」に住んだ経験がトラウマになっているのかもしれないが、狭い部屋は気分が塞ぐのである。
金に糸目をつけなければいくらでも広い部屋に泊まれるとは言え、当然会社が負担する限度額というものもあるので、どこかで妥協しなければならない。
今回は巧い具合に一流ホテルの30平米の部屋が格安で取れた。30平米と言えば僕が独身時代に最後に住んでいたマンションの広さである。当時ウチの会社に借り上げ社宅制度はまだなかったので、かなり無理をして借りていた部屋だ。
どうしてそんな広い部屋が、と言う御仁もおられるだろう。
自宅であれ、ホテルであれ、それは僕にとって1日の最後を飾る憩いの場なのである。
仕事が終わって飲みに行ったら、もうそこからリラックス──というのが一般的なのかもしれないが、僕にとっては酒の席は(下手するとたとえ友だちとの飲み会であっても)緊張の場、くつろげない場、退屈と忍耐の場、最悪の場合は吐き気や眠気をこらえているだけの修羅場であったりする。
現象面がどうであるかは別として、僕の意識としては、最初にくつろぐのは、どんな1日であっても自宅やホテルに戻ってからなのであって、だからこそ「部屋に帰って寝るだけ」というパタンはあり得ない、避けなければならない、最悪の1日のパタンである。
だからこそ、僕はホテルであってもある程度の広さの部屋を必要としているのである。圧迫感がある部屋ではどうしてもくつろげないし、くつろげないと明日に響いてしまうのである。
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