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Saturday, February 28, 2009

映画は第一義的に映像芸術である。

【2月28日特記】 僕は元から見る気のなかった映画なのだけれど、『旭山動物園物語』の記事が2/24(火)の朝日新聞夕刊に出ていて、そこで監督のマキノ雅彦(津川雅彦)と実兄の長門裕之が対談していた。

その中で津川はこんなことを言っている。

監督というのは実は大したことない。映画は脚本だよ。芸術大好きの批評家はショットが素晴らしいとか言うけどさ。それがどうした、だよ。一般の観客には関係ない。

僕はこんなこと言う奴が映画の監督やってるのか、と情けないのを通り越して暗澹たる気分になった。

彼に言わせると僕は芸術大好きの批評家であって一般の観客ではないことになる。でも、一般の観客って何だ? そういう分類をすることで却って観客というものを舐めていると言えはしないだろうか?

僕はこのブログに載せている映画記事の中で再三こんな風に書いている。

映画は第一義的に映像芸術である。

ここでのポイントは「芸術」ではなくて「映像」のほうである。映像がどうでも良いと思うのなら映画を撮る必要はない(舞台とか小説とか、方法はいろいろある)。「それがどうした、だよ」とは全く情けない言い草である。映画はまず映像である。

そして第2のポイントは「第一義的に」である。映像の要素はとても重いが、映像が全てではない。言うまでもなく映画は総合芸術であるという認識が背後にある。

「映画は脚本だよ」のように、全体を1つの要素に帰結してしまうことを矮小化と言う。映画は総合芸術であって、矮小化の対極にある存在である。

僕はマキノ雅彦の監督デビュー作『寝ずの番』を観ている。あんまり感心しなかった。だから、感心しないという記事を書いた。3年近くまえのことだ。

今になって、なんか、それを裏書きするような発言を見て非常にげっそりしている。

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Comments

同じ業界に身を置く者としてちょっとコメントさせて欲しい。

誰を擁護するわけではないが、脚本も映像も大事である。
津川さんは表現の仕方に問題があったのでは、と思う。

映画と言ってもひとくくりに出来ないので、話を進める上で、
(商業映画)(芸術要素が強い映画)(2つを持ち合わせる映画)
の3つに分類することが大前提になるのではと思う。

大ヒットと狙っているのか、記録よりも記憶に残る映画を狙っているのかの
スタンスの違いで話が噛み合わない場合がある。

(両者の認識の)前提が違うからだ。
同じ言葉を使用していても、捉えている意味が違う。これでは話が平行線のままになる。

もちろん脚本が全てではないが、もっとも大事な基礎部分であることは間違いない。
その上で、映像や音などの総合芸術たる要素が加わる。

芸術要素が強い映画などは、映像だけで成り立つ場合もあるとは思う。

大ヒットを狙う場合、脚本が良いとヒットさせれる確率が高まる。
これも事実である。
理由は多々あるのでここでは割愛させて頂くが、大体は分かって貰えると思う。

私から言わせてもらえば、映画評論家も、OLさん、会社員などその他全ての観客には
区別がない。皆全てが「一般の観客」である。

それでは「一般の観客」以外は、というと、「一般の観客」が劇場に見に来たお金で
生計を立てている業種の人たちではないかと思う。

映画を観た感想に「正しい・間違い」なんてないのである。

Posted by: Katsuya | Sunday, March 01, 2009 11:11

> Katsuya さん
書き込みありがとうございました。
僕自身がちょっと後味の悪い書き方をしてしまったので、ひょっとすると反論されるかも、少し末尾に書き足そうか、と思っていたら、先に書き込まれてしまいました(笑)。
おっしゃること大体は分かります。そしてまた、映画を観た感想に正しい/間違いなんてない──というご意見にも同感です。まさに、最後の1行にそういうことを書き足そうかと思っていたのでした(再笑)。
そういうことを理解した上で、僕の感じた所を披歴したつもりでした。単に映画に関することだけではなく、脚本が全てだとか映像は大事でないとか、そういう一部で全体を判断する態度には共感できないなあ、というのが僕の真意でした。書き方がまずかった点はお許しください<(_ _)>

Posted by: yama_eigh | Sunday, March 01, 2009 20:11

私も貴殿のおっしゃる、
「全体を1つの要素に帰結してしまうこと考え方」
「一部で全体を判断する態度」
には共感出来ない部分があるので大賛成でございます。
(この考え方は映画のみならず全てにおいて重要ですね)

私の方こそぶしつけな表現になってしまって申し訳なかったと思っております。いつもブログを拝見しており、映画に対する思いや感性がとても好きでしたので、ついあのような言い方になってしまい、、、

Posted by: Katsuya | Sunday, March 01, 2009 22:30

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