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Saturday, February 28, 2009

映画は第一義的に映像芸術である。

【2月28日特記】 僕は元から見る気のなかった映画なのだけれど、『旭山動物園物語』の記事が2/24(火)の朝日新聞夕刊に出ていて、そこで監督のマキノ雅彦(津川雅彦)と実兄の長門裕之が対談していた。

その中で津川はこんなことを言っている。

監督というのは実は大したことない。映画は脚本だよ。芸術大好きの批評家はショットが素晴らしいとか言うけどさ。それがどうした、だよ。一般の観客には関係ない。

僕はこんなこと言う奴が映画の監督やってるのか、と情けないのを通り越して暗澹たる気分になった。

彼に言わせると僕は芸術大好きの批評家であって一般の観客ではないことになる。でも、一般の観客って何だ? そういう分類をすることで却って観客というものを舐めていると言えはしないだろうか?

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Thursday, February 26, 2009

森の子ヤギ

【2月26日特記】 子供の時に何度か聴いて、だんだん記憶が薄れてきているのにも拘らず、いつまでも気になって忘れられない歌があった。

それはウチにあった童謡のレコードだった。

親父が新し物好きだったので、僕の家にステレオが来たのは他の家庭よりいくらか早かったはずだ。そのステレオを買った時におまけについていたのか、あるいは母が子供たちの情操教育のために買い求めたのか、とにかくウチには何枚かセットになった童謡のレコードがあったのである。それはその中の1曲だった。

若い人はレコード自体を知らないのだろうが、一口にレコードと言っても、それはLPになる前のSP(78回転)だった。盤の素材は何だったんだろう? まだ合成樹脂にはなっていなくて、下手に落としたりするとパリンと割れてしまうようなレコードだった。

それは「めぇ」で始まる歌だった。そう、「めぇ」──山羊の鳴き声の「めぇ」である。僕の記憶ではなんとも悲しげな「めぇ」なのであった。

「めぇ」の後に「森の子ヤギ」という歌詞が続いていた。そこから先は歌詞もあやふやになり、もう少し先まで行ったところでメロディまであやふやになってしまうのだが、ともかく何かが悲しくて子ヤギが泣くという歌だった。

忘れてしまったがためになおさら、何が悲しくて子ヤギは泣いていたのか、気になって気になって仕方がなかったのである。

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Wednesday, February 25, 2009

続・とっくに融合

【2月25日追記】 2月19日に書いた「とっくに融合」という記事に関して、世の中には、と言うか同じ業界内には同じようなことを考えている人がいるもので、とてもうまくまとめた文章を読んだので、ちょっとそれを紹介しておく。

と言っても、それは本来社内向けに書かれた文章である(つまり、僕が読んでいることがすでにおかしいということになる)ので、ここでは出典を明らかにしないことにする。

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『それ自身のインクで書かれた街』スチュアート・ダイベック(書評)

【2月25日特記】 いざ読もうと思って最初のページを開いて「しまった!」と思った。短編小説集だと思って買ったのだが、実は詩集だったのである。

いやはや、翻訳の詩集というものは却々に微妙なのである。

もっと古い時代の詩人による、あまりイメージが散逸し過ぎていない詩を、当時の日本を代表する魔術師みたいな翻訳家(例えば堀口大学)が訳したものであったなら、日本語で読んでもそれなりに、いや、それでこその味わいがあるというものだが、このダイベックの詩においては想像力があまりに自由に飛び跳ねすぎていて、小説においては翻訳の名人である柴田元幸でさえもさすがに御しきれなかった感がある。

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Tuesday, February 24, 2009

『おくりびと』のアカデミー賞受賞の報に接して

【2月24日特記】 このブログをよく読んでくれている知人から、「『おくりびと』のアカデミー外国語映画賞受賞に関して何か書いているかと思ったのに・・・」と言われた。

彼女が期待したのはどうやら少し悪意を含んだ、あるいは毒のある、あるいは棘のある文章だったようだ。

しかし、僕は決してあの映画に悪意など持っていない。ただ「おめでとう!良かったね」と祝福するのみである。

確かに、

『おくりびと』が1位に来るとは思いませんでした。確実にベストテンには入るだろうとは思ってましたけど・・・。キネ旬も随分ウェットになったもんだ、というのが正直な思い。

とか、

表現力という点では『歩いても 歩いても』と『ぐるりのこと。』が双璧だと思ったのだが・・・。まことに人の感受性は多様である。

とか書いているが、一方で、

(『おくりびと』を含む5作品がベストテンに選ばれるであろうことについては)まあ、皆さんあまり異論がないところではないかなと思うのだが・・・。

とも書いているし、もうこれ以上いちいち引かないが、この映画を観たときの記事でもかなり褒めているのも事実である。

単に相対的には『歩いても 歩いても』や『ぐるりのこと。』のほうが上だと感じたにすぎない。

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Monday, February 23, 2009

KTV『トライアングル』(途中まで)

【2月23日特記】 TVのG帯(と書いて僕らは「ゴールデンタイム」を意味するのだが)のドラマでは、今クールは『トライアングル』を観ている。関西テレビ放送開局50周年記念ドラマということで大変気合が入っている。

まず、この豪華キャスト。いちいち書かないけど主演級ゴロゴロ。これだけの役者が揃うとなると、キャストの並びをどうするかはかなり難しいパズルであったに違いない。

そして、海外ロケ。初回がパリ、先週は上海だ。

一体このドラマの制作費がいくらで、セールスは30秒単価でどれくらいなのか全く知らないけど、はっきり言えるのは、こんなことやってると番組単体では間違いなく赤字だろうということ。しかも馬鹿に出来ない額の赤字のはずである。

一般の方には却々解らないだろうが、世の中にはもちろん黒字の番組もあるにはあるが、番組セールスというのはそう簡単に黒字になるものではないということである。にも拘らず気合を入れて作るというのも放送局のひとつのあり方である。

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『ブラザー・サン シスター・ムーン』恩田陸(書評)

【2月23日特記】 僕は恩田陸の作品の中ではとりわけこういう作品が好きだ。あまり何も起こらない話。『黒と茶の幻想』とか『夜のピクニック』とか…。

いや、そう言うと「決して何も起こらない訳ではない」と反論されそうだが、まあ、言うなればストーリーの展開で引っ張って行こうとせず、叙述そのもので引っ張って行ける小説。

そして、それは恩田陸ほどの筆致がなければ決して書けない小説であり、僕はそういう「あまり何も起こらない小説」を書こうとする発想と勇気と力に脱帽するのである。

この小説も何がどうしてどうなるという話ではない。3部構成になっていて、高校時代の同級生である楡崎彩音、戸崎衛、箱崎一のザキザキ・トリオがひとりずつ語る形になっている。

彩音は小説家になっている。衛は大学時代こそ人気ジャズバンドのベーシストだったが、卒業後はあっさりと鉄鋼メーカーに勤める。一は逆にシネマ研究会の末端の部員から大手証券会社に就職し、不動産系の金融会社に転職したのち映画監督になる。

その辺の経緯がゆっくりゆっくり語られて少しずつ少しずつ明かされて行く。特に彩音の第一部は持って回った話の連続で読んでいてまどろっこしくなるほど。でも、それは必要な回り道なのである。

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Sunday, February 22, 2009

ドラマW『兄帰る』

【2月22日特記】 WOWOW がまた「ドラマW最新作3週連続放送」をやっている。先週から始まって録画が2本溜まってしまったので、まず1本目の『兄帰る』(2/14放送)を観た。

見終わってから知ったのだが、原作はビッグコミックススペシャル刊の同名の漫画(近藤ようこ著)。なんだかとっても意外な気がした。

監督は深町幸男。正直言って「こりゃまた随分古臭い人を引っ張り出してきたなあ」という感じ。出だしからテンポののろさと言い、出てくるテロップの字体と言い、随分と古ぼけた感じがする。

脚本は筒井ともみ。森田芳光監督の『それから』で出てきたときには少し前衛的な新進脚本家という印象だったのが、最近では少し立ち位置を見失っているような気がする。プロデュースにまで手を出して大失敗の感が残った『ベロニカは死ぬことにした』が記憶に新しい。

主人公は父親の町工場で経理担当をしている真樹子(木村佳乃)。ある日突然、職場の同僚であり婚約者であった功一(高橋和也)が失踪してしまう。失意に暮れた日から3年が過ぎたある日、功一が交通事故で死んだとの連絡が来る。

誰にも失踪の理由は分からないままである。功一の遺品を頼りに、真樹子は功一の妹・弟と一緒に、彼のこの3年間の足跡を辿る──という筋である。

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Saturday, February 21, 2009

Just tumbling

【2月21日特記】 かなり頻繁にこのブログを訪れてくれている人でも気がついている人はないと思いますが、実は tumblr を始めました。左欄の OTHER LINKS という欄にリンクを張っておきました。

tumblr の最後の r は flickr の場合と同じく -er に読み替えれば良いです。r をそのまま are と読ませる戯書なのです。

で、これは何かと言えば、まあ言うならばウェブ上の自分用のスクラップ・ブックみたいなものですね。インターネットを見ていて気に入った写真や感銘を受けた記事のテキストなど、なんでもここに入れておけば、あとからわざわざ探しに行く必要はないのです。

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Thursday, February 19, 2009

とっくに融合

【2月19日特記】 昨日、放送批評懇談会主催のシンポジウム[放送2.0宣言]を聞いてきた。

今ここでその総括記事を書こうという気はなくて、ちょっと引っ掛かったこと1点だけ。

(株)サイバーエージェント コミュニケーションディレクターの須田伸さんのプレゼンテーションのレジュメの中にこんなフレーズがあった。

テレビとネットは、生活者の中ではとっくに「融合」しています。

そう、そうなのだ。須田氏は今回の講演の中で別にこの1点を強調した訳でも何でもなくて、ただ、僕がこのフレーズを見つけて引っ掛かったのである。

いや、それを言うなら逆か? 僕はこのフレーズに引っ掛かりを感じない、つまり抵抗を覚えないのである。

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Wednesday, February 18, 2009

中川財務大臣の辞任に思ったこと

【2月18日特記】 昨日中川財務大臣が、結局、辞めた。

まあ、そうだわなあ、ここまで来てしまったら辞めるしかないわなあ、というのが大方の一致した見方ではないかと思う。

だが、その中にも「大臣としての資質に欠ける。あんな奴、辞めて当然」というものから「それほど目くじら立てることでもないとは思うが、電波に乗せて世界中に醜態をさらしてしまったとなると辞めるしかないだろう」というものまで濃淡はいろいろあるだろう。あるいは、中には「いや、辞めることはなかった」という人もやっぱりいるのかもしれない。

僕はまあ「辞めるのが当たり前だ!」と怒ったり憤ったりする気持ちよりも、なんだかアホらしい気持ちのほうが強い。で、まあ、「辞めるしかないわなあ」という感じ。

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Tuesday, February 17, 2009

今日の BGM#21

【2月17日特記】 例によって今回も2回分連結で。

  1. 恋をしようよジェニー(ザ・カーナビーツ)
  2. 少女(五輪真弓)
  3. 夢の途中(来生たかお)
  4. 青い瞳のステラ、1962年夏…(柳ジョージ&レイニーウッド)
  5. 悲しくてやりきれない(フォーククルセダース)
  6. 芽ばえ(麻丘めぐみ)
  7. 落陽(吉田拓郎)
  8. 最後の本音(SOOO BAAD REVUE)

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Monday, February 16, 2009

オカンのアドバイス

【2月16日特記】 新しい携帯で" i コンシェル"に加入した(と言っても、とりあえず無料のお試し版だけど)。docomo の待ちキャラによるコンシェルジェである。

羊の待ちキャラが可愛かったから入った訳ではない(それよりも、買った携帯にデフォルトで設定されていたシルエットだけのキャラが憎めなくて気に入っている)。

docomo の人が年末に挨拶に来られた時に「これからはこれですよ!」と随分力説しておられたということもある。仕事上の興味からだけではなく、電車が不通になっていたりしたときに連絡が入るのは便利だなと思ったということもある。

んで、何やかやと知らせてくれる。世話焼いてくれる。

「朝の忙しい時に短時間で靴をきれいにする磨き方」なんてのが仕事で忙しい最中に送られてくるのだが、忙しくて読む暇がなくて放っておくうちに次の通知が入って忘れてしまう。

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Sunday, February 15, 2009

映画『大阪ハムレット』

【2月15日特記】 映画『大阪ハムレット』を観てきた。

聞いたこともない監督だし観る気もなかったのだが、知り合いの関東在住の関西人が異口同音に褒めているのを読んだり聞いたりしたものだから観ておこうという気になった。

主演の松坂慶子をはじめ関西ネイティブでない役者が何人が出ていて、彼らが関西正調でないアクセントで喋っているのが気にならないと言うと嘘になるが、それほどでもなかったのも確か。

初っ端から、松坂の亭主・間寛平が死んで、その葬式の席で集まった人たちが故人を肴に冗談言って笑い転げているシーンだ。大阪のおばちゃんらしい感じが大変良く出ている。僕の高校の同窓生が集まると既にこんな感じになっている。

母/未亡人の房子(松坂慶子)と子供たち3人の家に、葬式の直後から父の弟と名乗る(しかし子供たちは一度も会ったことがない)男・孝則(岸部一徳)が転がり込んできて3人の子供たちとの微妙な関係が始まる。

と言っても、子供たちとの間に軋轢が生ずる訳ではない。この孝則という男、神経が相当細やかで遠慮深い。

自ら「おっちゃん」と名乗り、家族にパチモンのペアルックTシャツなど買ってくる。風呂上りの次男にバナナジュースを作ってやる。三男が落ち込んだら一緒に風呂に入って勇気づけてやる。すると逆に「おっちゃん、ヘタレのくせにええこと言うやん」と言われる、等々。

中3の長男・政司(久野雅弘)は街で会った女子大生・由加(加藤夏希)にひと目ぼれ。生来の老け顔から大学生と思われて、年を隠したままつき合っている。親に嘘ついてお泊りに行ったりもする。逆にファーザー・コンプレックスの由加のほうは政司に「父親になってほしい」などと訳の分からんことを言ってくる。

次男の行雄(森田直幸)は同じく中学生だが、兄と違ってケンカに明け暮れるヤンキー。その行雄がひょんなことからシェイクスピアの『ハムレット』を読み始める。そのエピソードがこの物語のタイトルであり構成上の背骨になっているところが非常に面白い。

そして三男の宏基(大塚智哉)はなんと女の子になりたい。小学校のクラスでそれを言ったら笑い物になったが、「僕は真剣なので笑わないでください」と返す。その宏基が学芸会のミュージカルでシンデレラを演じることになった。

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Saturday, February 14, 2009

映画『少年メリケンサック』

【2月14日特記】 映画『少年メリケンサック』を観てきた。初日の土曜日(しかも「シネマズデイ」で入場料1,000円だった)とは言えよく入っている。宮藤官九郎のファンか宮﨑あおいのファンか。

映画のほうは宮藤官九郎と宮﨑あおいががっちりと歯車が噛み合った見事な出来で、宮藤ファンも宮﨑ファンも大満足ではないだろうか。いやぁ、ホントに面白かった! 諸手を挙げて、両の手離して大喜び!!!

宮藤の監督第1作『真夜中の弥次さん喜多さん』は非常に荒唐無稽な時代設定だった。なにせ、江戸の長屋を出発した弥次さんと喜多さんがバイクで高速をぶっ飛ばすような話である。

それに比べると今回は、ネットで見つけたカッコいいパンクバンドをスカウトに行ったら、なんとその映像は25年前の解散ライブのもので、そこにいたのは見る影もないオッサン連中だった、という幾分ありそうな、あっても不思議ではない設定である。

で、このパンクバンド「少年メリケンサック」の配役が見事に嵌っている。

かつては「高円寺のシド・ヴィシャス」を名乗りながら、今では昼間から立ち飲み屋で酔いつぶれてヨレヨレになっている、半ばホームレスみたいな風貌と体臭の元ベーシスト・アキオに佐藤浩市。

アキオと果てしない確執を繰り広げる実の弟で、今は牧場で牛の世話をして牛糞だらけになっている元ギタリスト・ハルオに木村祐一。

解散ライブの舞台上での乱闘で負傷して重度の障害が残り、今やまともに歩くこともまともに喋ることもできない元ボーカリスト・ジミーに田口トモロヲ(ほとんど喋らずに、かなり爆笑もののシーンが満載なのだが、このネタはTVではやれんぞ)。

昔通りのモヒカン刈りにしてスタジオに現れ、「痔の手術をしたばかりなので、立って叩いてもいいですか?」と言う元ドラマーのヤングに三宅弘城。この痔のエピソードは三宅が宮藤官九郎と組んでいるパンクバンド「グループ魂」での実話だと言うから笑える。

そして、彼らを「発掘」したのがきっかけで全国ツアーのプロデューサまでやらされる破目になったレコード会社の契約社員・かんなが宮﨑あおいだ。(宮崎あおい)

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『モダンタイムス』伊坂幸太郎(書評)

【2月14日特記】 伊坂幸太郎の作品をあまり読みつけているわけでもないが、僕がいくつか読んだ伊坂作品の中ではあまり出来が良い作品だとは思えなかった。

読んでいて、まあ面白い小説ではある。

書き出しからして、主人公である29歳のSE渡辺が帰宅したら見知らぬ男がいていきなりリンチを受けるというような見事な引っ張り方。しかもそれが渡辺の浮気を疑う妻が差し向けた男だという「なんじゃそりゃ!?」の事情。──この辺が伊坂のいつもの設定の妙である。

ただ、今まで僕が読んだ作品においては、現実の中での不思議な設定であったのが、今回は不思議が浮き立ち過ぎているように思う。それには100年後の未来が舞台になっているところにも多少の問題点はあるように思う。

もちろんこの設定がストーリーの中で機能している部分も多いのではあるが、果たしてこれが絶対必要なものであったのかどうか。

現代、もしくは20~30年後の近未来という設定にした方が絵空事ではない恐ろしさが醸し出せたのではないだろうか。

そして100年以上未来にしてしまったために、読んでいて「渋谷は100年後も渋谷で、ずっと変わらずに東京の中心的な若者の街なのかい?」と、妙なところに引っ掛かりを覚えてしまったりもした。

あとがきを読むとこれは元々漫画週刊誌に連載していた作品で、「細かいアイディアについては、毎回、担当編集者と打ち合わせをし、次号の内容をそのつど決めて書き進めるやり方を取」ったとある。

なるほど、そんな書き方をした小説だと思う。如何にも頭で考えましたという体になってしまっているのである。知が勝ち過ぎているのである。

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Thursday, February 12, 2009

携帯を買い替えた(2)

【2月12日追記】 僕がずっと docomo の P を買い続けているには訳がある。

同じメーカーの機種に乗り換えたほうが操作面での共通性が大きくて楽だということもある。しかし、それはマイナーな理由であって、一番大きな理由はワン・プッシュ・オープンのボタンである。

2つ折りの筐体がボタン1プッシュで開くのはパナソニックだけなのである。

残念ながらこのことを言うと、必ず「やまえーさん、そんなボタンなくたって片手で開きますよ」と馬鹿にしたようなことを言われる。しかし、僕にとってはとてもとても大きな要素なのである。

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Wednesday, February 11, 2009

携帯を買い替えた(1)

【2月11日特記】 携帯電話を買い替えた。僕はずっと docomo の P に決めていて、今回も P-04A だ。

携帯を買うのは大変である。大体2時間仕事である。

今回は買う機種を決めてからヨドバシに行ったのだが、まず、自分のほしい機種がどこに置いてあるのかが判らない。特に僕のように買うメーカーが先に決まっている人間にとっては大変である。

なぜなら docomo の新しい機種はメーカー横断的に STYLE, PRIME, SMART, PRO の4つに大別され、売り場もそのシリーズごとになっているから、僕のように「ええと、パナソニック、パナソニック」と探していても、自分の買いたい機種がどのシリーズだったのか分かってないと見つけられないのである。

今、調べ直してやっとわかったのだが、僕が買ったのは SMART siries だった。

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Tuesday, February 10, 2009

デジタルテレビとハードディスク・レコーダ

【2月10日特記】 ウチの会社のOBにX氏という人がいる。ご本人の名誉のために、本名はもちろんのこと名前のイニシャルや元の役職名も伏せることにするが、かつてはかなりの地位に就いていた人だ。

そのX氏が最近デジタルテレビとハードディスク・レコーダを買った。なんと彼は長年TV局に勤めていたにも拘らず、つい最近までアナログテレビをカセットテープに録画して観るという生活を続けていたのである。

X氏がデジタルテレビとハードディスク・レコーダを買うに当たっては、私の先輩/上司に当たる人たちが随分相談に乗ったようで、その中でも無類の好人物であるM氏はテレビが届いた日に実際に家まで行っていろいろ教えて差し上げたと言う。

しかし、それでもX氏は却々使い方が解らなくて、M氏の携帯にしょっちゅう問合せの電話を掛けてくる。

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Monday, February 09, 2009

食いしん坊万歳

【2月9日特記】 出張でまず沖縄に、続いてそのまま札幌に行っていた部下が帰ってきて久々に出社した。

食いしん坊である。さぞかし美味しいものばかり食ってきたんだろうなあ、と思いながら、一緒に昼飯食いに行く道すがら「何が食べたい?」と訊いたら、こう来なすった。

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Sunday, February 08, 2009

「キネマ旬報」2月下旬号(2)

【2月8日追記】 一昨年からキネ旬の1-10位の得点を分解してみるという試みをやっている。何人の審査員が平均何点ずつを投じてこの得点が出来上がったのかという分析である。

ご存じでない方のために書いておくと、キネ旬の審査は各審査員(2008年度日本映画の場合は62人──対前年比6名増)が1位と思う作品には10点、2位には9点という具合に総持ち点55点を投じて行く形式である。

統計学的にちゃんと分析するとなると分散をはじいたりするんだろうけど、とりあえず簡便で見た目も解りやすい方法として「人数×平均点」を出してみた。1点以上をつけた審査員の数×その平均点である。

これをこのように分解することによって、多くの人に受けたのか一部の人に高く評価されたのか、その映画によって微妙なばらつきが見えて来る。

今年初めて気がついたのだが、日本インターネット映画大賞でも同じようなことをやっていて、ここでは「思い入れ度ランキング」という名前がついている。この企画、いつからやってたんだろう? まさか僕のこの記事を読んで真似したわけではないだろうな(笑)

さて、計算結果は、

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Saturday, February 07, 2009

「キネマ旬報」2月下旬号(1)

【2月7日特記】 「キネマ旬報」2月下旬決算特別号が発売になりました。さて、今年も去年と同じ形式で第11位以下の作品を総点検してみましょう。僕自身の2つの記事(12月24日付け1月8日付け)の続編という形になります。

第11位が『百万円と苦虫女』──予想通りの高評価。もっとも、僕自身は12月24日の記事にこう書いています。

あとは『百万円と苦虫女』『グーグーだって猫である』辺りがどうなるか。僕としては少し物足りなかったので外したのだが・・・。

先に書いておくと、『グーグーだって猫である』は第29位でした。

第12位には『人のセックスを笑うな』。これについては僕は1月8日の記事でこう書いています。

(ベストテンから)漏れたのは『人のセックスを笑うな』。んー、なんでこれ入ってないのかな?

ま、12位なら順当な範囲内と言うべきなのでしょう。ところが、これ以降、僕が選んだ映画が全然出てこないのです。

第13位『石内尋常高等小学校 花は散れども』、同じく第13位『崖の上のポニョ』、もうひとつ第13位『世界で一番美しい夜』。前2者は良いとして、この3つ目はどんな映画でしたっけ? 全く記憶にありません。

続いて第16位『明日への遺言』、第17位『その日のまえに』、第18位『その木戸を通って』(これは確か市川崑監督でしたよね)と、僕が見ていない映画が6本も続いてしまってます。手も足も出ません。

で、第19位に漸く『休暇』。ふむ、随分上位に入ってきましたね。映画の出来不出来よりもテーマのインパクトが強すぎる気がして僕は外したのですが・・・。

その結果、前の記事との関係で総括すると、僕が「キネマ旬報ベストテン20位以内に入ってほしい」として選んだ10本のうち10位以内には5本入ったんですが、11-20位が1本だけだったために、最終的にキネ旬の20位以内には合計6本。

ひょっとしたら的中率が少し上昇するのかもしれんと思っている。

なんて書きましたけど、結局のところ前年比±0でした。

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Thursday, February 05, 2009

WOWOW「桑田佳祐 Act Against AIDS 2008 『昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』」(再)

【2月5日特記】 WOWOW で「桑田佳祐 Act Against AIDS 2008 『昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦』」の再放送をちょっとだけ見た。録画してあるので後でゆっくり通して見るつもり。

エイズについての啓発活動と昭和歌謡の総ざらいをドッキングさせた、まことに桑田らしい良い企画である。

  1. アレンジには意外性は全くなく、ほとんど原曲を踏襲するものばかりだし、
  2. あくまで大ヒット曲中心、特にその歌手にとっての No.1 ヒットを集めてあるところ(僕が選ぶとすれば例えば欧陽菲菲なら『ラブ・イズ・オーヴァー』ではなくて『恋の十字路』であり、例えば尾崎紀世彦なら『また逢う日まで』ではなくて『さよならをもう一度』なのだが)

の2点が僕の趣味からは少し外れるのであるが、まあ、でも、基本的に良い選曲である。

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Wednesday, February 04, 2009

多数派の横暴

【2月4日特記】 昨日で僕のホームページ(このブログのことではない)が開設からちょうど8周年を迎えた。

そのホームページを改造していて気がついたのだが、Internet Explorer 7 って、タブブラウザになったのは良いけど、新しいページを開くときは新しいウィンドウではなくタブで開くという設定をしておくと、なんでもかんでもタブで開いちゃうのである。

JavaScript でウィンドウの幅と高さを指定した上で window.open としていても、構わず新しいタブで開く。つまり、せっかく指定した幅と高さは無視される。もし、背景に色や模様をつけていたら、大きなタブの中の指定した広さだけに色や模様が反映されるという間抜けなことになる。

本当に困ったブラウザである。Firefox や Google Chrome なら、タブで開く設定にしてあってもちゃんと指定通りの大きさの新しいウィンドウで開いてくれるのに。

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Tuesday, February 03, 2009

今日の BGM#20

【2月3日特記】 さて今日も2回分。

  1. さよならをもう一度(尾崎紀世彦)
  2. モラトリアム(レミオロメン)
  3. あの頃のまま(桑名晴子)
  4. 目を閉じておいでよ(BARBEE BOYS)
  5. 真夜中のギター(千賀かほる)
  6. 夏のタイムマシン(小泉今日子)

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Monday, February 02, 2009

誰が使うの?

【2月2日特記】 西宮スタジアム跡にできた巨大商業施設「西宮ガーデンズ」で昨日こんなものを見つけた。

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Sunday, February 01, 2009

映画『20世紀少年 ─第2章─ 最後の希望』

【2月1日特記】 映画『20世紀少年 ─第2章─ 最後の希望』を観てきた。やっぱり僕らの世代にはこたえられないものがある。

自分で書くのも何だが、前の日には公開前日にNTVで放送された『20世紀少年 もう一つの第1章』で復習するという念の入れよう。僕はどんどん忘れちゃうので、こういうのはとても役に立つ。

しかし、それにしてもよく考えたね。公開前日に放送して映画『第1章』を見逃した人に見せることによって映画『第2章』の動員に繋げる──これは今までもあった手法だが、TV版を別バージョンにすることによって映画『第1章』を観た人をもう一度TVの前に引っ張り込んでくるという視聴率対策。

確かに映画とは違うパートがかなりあった。未公開映像と新たに撮影した映像を加えたとあるが、未公開映像は前回の映画の編集時点で切り落としたものであるとして、新撮影分と言ってもクランクアップ後に俳優たちを再度招集したりセットを組み直したりというのは考えられないから、多分『第2章』用に収録した平愛梨のショットを挿入したということなのだろう。

そういうわけで、このTV用別バージョンでは高校生になったカンナ(平愛梨)の語りで進行するという形に再構成されている。

で、恐らく映画『第1章』では削られたと思われるいくつかのシーンやカットが復活し、その代わりに映画ではあったいくつかのシーンが削られている。例えば、

  • 冒頭の海ほたる刑務所でのオッチョ(豊川悦司)と漫画家・角田(森山未來)の会話シーンがカットされて、カンナが語るケンヂ(唐沢寿明)たちの少年時代の回想から始まる。
  • ケンヂが敷島教授の娘を探し出すエピソードがすっかり抜けている。
  • ヤン坊・マー坊の双子が成人して、これを佐野史郎が演じているのだが、彼(彼ら)の事務所にヨシツネ(香川照之)が訪ねて行くシーンがなかった。──これは妻に言わせると「『第2章』以降のストーリー上で双子は大した役割を果たしていないことの証拠」とのこと。
  • ケンヂの姉キリコ(黒木瞳)が失踪する前の、恋人・諸星(津田寛治)とのエピソードは全面カット。
  • ともだち教団とライバル関係にある教団の教祖・ピエール一文字(竹中直人)が殺られる件も全面カット。
  • ユキジ(常盤貴子)がケンヂらの地下の潜伏先を突き止めてやってきたシーンでは、どうしてここが分かったのかと訝るマルオ(石塚英彦)に「ファックスで送られてきた地図を無造作に置いといちゃダメじゃない」とたしなめるカットが省かれていた。
  • それから、あまり記憶が確かでないのだけれど、確か最後のほうでフクベエ(佐々木蔵之介)がどっかから転落して(死を確認するシーンはなかったけど、多分)死んだよね? そのシーンもなかった。

等々。

ま、TV版『第1章』の話であまりスペースを割くのもアレなので、これくらいにして、以下で映画版『第2章』の記事を書くことにする。

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