年代の味、季節の味
【1月16日特記】 子供のころには「なんでこんな変な味のもの食べるんだろう(>_<)」と思っていたのに、大人になったら平気で食べているものがある。
例えば、蕗(フキ)だ。どんな料理法であれ、これが夕飯の食卓に出ていると嫌だったなあ。今でこそ、別に好きだと言う訳ではないが、あれば食べる。そんなに美味い!というものでもないが、少なくとも乙な味だ、ぐらいには思う。
似たようなところでは、牛蒡(ゴボウ)とかゼンマイとかヒジキとか椎茸とかが嫌だった子供も多かったんじゃないかな? 僕はそうでもなかったけど。だって、蕗に比べると随分マイルドな味ですぜ。
あと、何だろう? 塩辛かなあ? ただ、妻は子供の時から塩辛が好きだったと言うから、必ずしも多くの子供に共通の体験ではないのかも。
それから、例えば西洋のピクルス。きゅうりの。
初めて(多分サンドイッチかハンバーガーかに挟まっていたのを食べちゃって)、おう、なんて味なんだ!と悲鳴をあげそうになった。以来しばらくは、そういうものにピクルスが挟まってないか注意深く点検してからでないと食べなかったなあ。今では結構好きだけど。
あとは似たようなもので言うと、オリーブの実だ。
僕のオリーブ初体験は遅かった。成人してからだった。
なんで成人してからだと憶えているかと言うと、それはカクテルのグラスの底に沈んでいたからだ。
「なんで酒の飲めないお前がそんなもんを・・・」と、僕を知る人なら問うだろう。しかし、まあ、人生にはいろんな局面が訪れるもので、その時は僕の目の前に飲めもしないカクテルのグラスが置いてあって、しかも飲めないからと言って手つかずで放っておく訳には行かない局面だったのだ。
で、ちょっと舐めてはみたけど、液体のほうはこれ以上口に入れられそうな代物でもないので、その代わりに底に沈んでいたオリーブに手をつけたという訳だ。
それが初体験。で、こっちは果実だと思っている訳だ。フルーツだと思い込んでいる訳だ。
ブドウっぽいかプラムっぽいかは別として、甘さと酸っぱさの割合がどれくらいずつなのかは分からないが、果実である限りは少なくともそのどちらかの味がするもんだと・・・。
ところが、まあ、酒漬けであったこともあるにしても、口に含んだ途端に「なんじゃ、こりゃあ!?」の味だったのである。あまりに想像と違うのに、あまりにフルーツのイメージと隔たっているのにびっくり仰天であった。
ところが、不思議なもので、いつからどうなったのか自分でも憶えていないのだが、今では大好物のひとつなのである。
今、新オリーブの塩漬けが出ている。成城石井で買える。いや、季節商品なのでそろそろ売り場の棚から消える頃かもしれない。右の写真→はガラス瓶に移してから撮ったものだが、鮮やかなグリーンの実が袋入りで売られている。
1袋買って、妻も結構好きなのですぐになくなり、また買ってすでに半分ほど食べた。できればもう1袋買いたいが、それまで在庫は尽きずにいてくれるのだろうか。
人間の味覚って不思議だなあと思う今日この頃である。
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