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Sunday, October 19, 2008

映画『TOKYO!』

【10月19日特記】 映画『TOKYO!』を観てきた。3人の外国人監督(フランス出身の米国人ミシェル・ゴンドリー、フランス人レオス・カラックス、韓国人ボン・ジュノ)が東京を舞台に撮ったオムニバス。俳優もスタッフもほとんどが日本人である。

  1. TOKYO!<インテリア・デザイン>-ミシェル・ゴンドリー監督
    藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、妻夫木聡、大森南朋、でんでん
  2. TOKYO!<メルド>-レオス・カラックス監督
    ドゥニ・ラヴァン、ジャン=フランソワ・バルメール、石橋蓮司、北見敏之、嶋田久作
  3. TOKYO!<シェイキング東京>-ボン・ジュノ監督
    香川照之、蒼井優、竹中直人、荒川良々、山本浩司、松重豊

という構成なのだが、その前に、オープニングとエンディングで使われているとても短いアニメーションがものすごく面白かった、と感じているのは僕だけだろうか?

アニメーションと言っても人物は全く映っておらず、ただ、架空の東京のビル街が、視点を動かしながら描かれているにすぎないのだが、それが如何にも実際の東京らしくて、また同時に如何にも外国人が思い込みそうな東京っぽくて、その2つのバランスがとてもエキサイティングだと思ったのである。

さて、まず<インテリア・デザイン>だが、冒頭から如何にもガイジンが書きそうな台詞の連続で、こういう台詞を日本人が喋っている様を見るのも結構面白い。でも、パンフによると監督はテストを行わないばかりか「俳優のインプロヴィゼーションに任せる」と言って段取りすら行わなかったと言う。

では、これらのダイアローグは俳優のアドリブなのか? いや、こればっかりは大筋事前に決められていたものだと思う。長廻しにも耐えて、藤谷文子と加瀬亮の会話は非常にスムーズだった。

それから、中盤の東京での家探しのシーンで続出する「東京にもそんなボロくて汚い家があったのか」と驚くようなアパートまたアパート。こういうのが出てくるところがこれまた日本人の監督とは違うように思う。東京と言ってもどこだかよく分からない東京ばっかり出てくるところも良い。就職先がラッピングの会社というのも外人らしい視点だ。

ストーリーは上京したカップル(藤谷文子と加瀬亮、加瀬は映画監督志望)がかつての同級生(伊藤歩)の狭っ苦しいマンションに転がり込んで仕事と住居を探すがうまく行かないという話で、途中から一転してシュールと言うか、超自然の世界に入ってしまって、これが何なのか解釈しろと言われてもさっぱり解らないのだが、でも、まあ、面白いし、余韻もある。

あまり解釈しようとしないで楽しむのが良いだろう。

僕は藤谷文子という女優はもっと伸びて良いと思っているのだが、やっぱりスティーヴン・セガールの娘という肩書が邪魔したり重荷になったりすることもあるんだろうか。この映画はオーディションを受けての出演らしいが、非常に魅力的な出来栄えである。ゴンドリー監督にとっても理想の主演女優であったようだ。

続いて<メルド>だが、これはちょっとしんどかった。

ドゥニ・ラヴァンが扮する"下水道の怪人"がマンホールの蓋を開けて東京の街に現れ大暴れするところまではものすごくスリリングで面白かったのだが、逮捕されてからがちょっと退屈。

怪人が喋る訳の分からん言語を理解するフランス人弁護士(ジャン=フランソワ・バルメール)が出てきて、怪人の名前がメルドであるということが判る。メルドとはフランス語で「糞」の意味だそうである。

メルドを殺せと喧伝する右翼がいる一方、メルドを救えとデモ行進する市民団体もいて、むしろその辺りに焦点を当てたストーリー展開にした方が面白かったのではないだろうか。後半はずっと法廷でのやり取りで、ちょっと飽きてしまう。

出てくる東京が銀座と渋谷だけというのが、東京を知っている日本人にとっては逆につまらない。

最後は如何にもフランス人らしいユーモアのある幕切れだったけど。

最後に<シェイキング東京>

これが一番面白かった。画も筋も。

10年間引きこもっている香川照之。食事は主に宅配。ただし、配達人が来ても眼は合わせない。ところがある日、女性の配達人(蒼井優)がガーターをしていたのに惹かれ、思わず顔をあげたら眼が合ってしまう。そこへ地震。

そこから先、面白い設定があるのだが、それはここには書かないでおく。そして、その後香川がもう一度蒼井に会いたいと思った時には逆に蒼井が引きこもりになっていて、遂に香川は意を決して彼女が住む代田3丁目の街に出て行く、という筋だ。

ともかく香川が演じる几帳面な主人公の設定が絶妙で、それを物語る彼の家の中の設定も見事。そして、カメラワークがとても面白い。

寓話的な筋ではあるが、西洋人が書いたような不思議な感じのするものではなく、むしろ同じ東洋人としての親近感がある。

さて3本まとめて振り返ると、<インテリア・デザイン><シェイキング東京>には東京としての必然性を感じるのだが、<メルド>にはそれが薄いような気がする。それがそのまま面白さの差になっているような気がする。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

長江将史~てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ
カノンな日々

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