映画『落下の王国』
【10月11日特記】 映画『落下の王国』を観てきた。
なんか、これ、とってもすっげー映画でした。途中何度か寝そうになったのも事実ですが、でも、なんだか圧倒的な印象のある映画です。
昔々(サイレント映画の時代)のロスアンゼルスの病院。果樹園で手伝いをしていてオレンジの木から堕ちて腕を骨折した5歳の少女アレクサンドリア(カティンカ・アンタルー)と、同じくそこに入院している男ロイ(リー・ペイス)。
ロイはスタントマンで、撮影中の事故で足をけがして入院している。ひょっとするとこのまま半身不随になるのではないかという恐怖に怯えてもいる。
そのロイがアレクサンドリアに聞かせるお話がこの映画の大部分である。
それはそれぞれ様々な理由から総督オウディアスに恨みを持つ5人の戦士(黒山賊、元奴隷オッタ・ベンガ、妻を誘拐されたインド人、爆発の専門家ルイジ、博物学者チャールズ・ダーウィン)が長髪の精霊と協力し合ってオウディウスに復讐する物語である。
ところが、最初はそういう単純で痛快な子供向けの活劇であったのが、そもそもロイが失恋の痛手から死にたいと思っている(この辺がうまく描けていなくて解りにくい)のが災いして、最後は段々悲惨な物語になってくる。おいおい、5歳の少女にそれはないだろうという話になってくる。
しかも、アレクサンドリアに「話の続きが聞きたければ薬品室からモルヒネを盗んで来い」(もちろんそれを飲んで自殺する気である)と命ずるという、えらい展開になってくる。
そんな話なのであるが、この映像がすごいのである。
宣伝文句には「目も眩むような映像美」とか「まるで万華鏡を見るような」などとあるが、決して嘘ではない。しかもCGは使っていない。世界中の世界遺産をロケ地としているのである。だからカメラが引いたときの画がすごい! 構図もすごいが、被写体となっている景色のすごさには敵わない。
色がすごい! 日本にはない組合せ。もっとも衣装デザインは日本人の石岡瑛子であるが(余談だが、その事実を知らずに北京五輪開会式との類似を指摘した我が妻もすごいと思った)。
米国の色でもない。ヨーロッパから中東およびアフリカ、南アジア、そして中南米の色合い。
そして、最後の、総督オウディアスの城で5人の戦士たちが順番に死んで行く、この死に方のすごいこと! これは書きません。見てびっくりしてください。こりゃ、5歳の少女に話して聞かせると泣きますぜ。でも、これで「死」に対する理解が半歩進んだかもしれない。
で、どうなったかと言うと、そこそこの良いエンディング。
ともかく強烈な印象を残してくれる映画であった。まさに画の力。一見の価値あり。
妻は「でも『パンズ・ラビリンス』には敵わない」と言ったが・・・。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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