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Monday, October 20, 2008

随想:画角と画額

【10月20日特記】 子供のころはTV画面の縦横比なんて意識したことがなかったが、それはどのTVでも一様に4:3だった(横が4なので「横縦比」と言うべきかもしれないが)。

映画館で観る画はもっと横長だったが、映画がTVで放送されるときは4:3になっていた。どうやって4:3にするかなんて考えたこともなかった(と言うか、縦横比が変わっていることにさえ気づいていなかった)が、とても簡単なことで両端を切り落としていたのである。

この手法をサイド・カットとかエッジ・クロップとか言うということを知ったのは就職してからだ。

あるいは、日本映画でキャストが縦書きに左右一杯に並んでいるような場合は、さすがに左右を切り落とすわけにも行かず(主演俳優の名前が落ちてしまう)、横方向に圧縮して、その結果やたらと縦に間延びした名前の列を見せられたものである。

いずれにせよ、TV画面は何が起ころうと頑固に4:3を守ってきたのである。

ところが、僕がTV局に就職して、さらに何年もの月日が流れてから、ハイビジョンとかHDとか言う高精細画像の新たな規格が出来てきて、何故だかそれは4:3を踏襲せず、突然16:9になった訳だ。

今では古いままのカメラや編集機などで制作された映像だけが4:3で、新しい機材で撮ったものは16:9である。その新しいコンテンツを古いアナログTVで観ている人は16:9のうちの4:3(=12:9)だけを見せられているにすぎない。つまり横方向には3/4(=12/16)の情報量しかないのである。

2011年7月24日のアナログ停波以降、再放送を除くほぼ全ての画面は16:9になる。その時に初めて16:9のTVに乗り換えた人は、自分が見ていた画面の両側にもまだ画が続いていたことを初めて知るだろう。

いや、それよりも前に、多分、全てのアナログTVに送られている映像が(総務省の指導によって)強制的に16:9にされてしまう日が来るだろう。そのことによって、今まで見えなかった画面の外側を初めて目にすることができる代わりに、天地に黒い帯が出て(レターボックス形式)、画像は今までより小さくなってしまう。

デジタル化振興策の一環ではあるが、一種の嫌がらせとも言える。

さて、この画面の縦横比のことを難しい言葉では「アスペクト比」と言うのだが、「画角」と言われることも多い。

ウチの会社では(多分ウチの会社だけだったのだろうが)、「画角」というのは「カメラ・アングル」のことだから、それと区別するために「画額」と呼ぼう、という運動があったのだが、結局その名前は広まることもなく定着もしなかった。

結局「画角」が定着するのだろうか?

いや、こういう用語が必要となるのは変革期だけのことである。

かつて4:3が当たり前で他の規格がなかったときには「画角」も「アスペクト比」もなかった。この先16:9が当たり前になってしまうと、またもやこの用語は必要なくなってしまうのだろう。

言葉なんてそんなもんである。

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