WOWOW『CG進化論 ─映画でたどるCG45年史─』
【9月14日特記】 WOWOW のオリジナル・ドキュメンタリ『CG進化論 ─映画でたどるCG45年史─』を観た。面白かった。
この7月から社内でCGのオーソリティだった奴が異動で僕の部下になったということもこの番組を見ようと思ったきっかけのひとつだが、もともと好きな世界ではある。
しかし、好きな世界である一方で「ハリウッドの野郎は何でもかんでもCGで処理しやがって。いくら金があるからってそれで良いのか!」と思っていたのも確かなのだけれど、この番組を見たらそういう思いは吹っ飛ぶね。
尊敬の念が湧いてくる。特にリズムアンドヒューズ社・社長のジョン・ヒューズの優しく柔らかい語り口と深く説得力のある解説を聞いていると、彼が自然と尊敬されるようになり、彼の周りに自然と人が集まってきたのが解るような気がする。
番組は以下のCG専門家たちに対するインタビューとメイキング映像、そして実際に映画になった作品映像で構成されている。
- ジョン・ヒューズ(リズムアンドヒューズ社 社長)
- エド・キャットムル(ピクサー・アニメーション・スタジオ社長)
- ジョニー・ギブソン(デジタルドメイン社 テクニカルディレクター)
- 坂口亮(デジタルドメイン社 テクニカルディレクター)
- フォルカー・エンゲル(VFX スーパーバイザー)
- ポール・デベヴェック(ICT グラフィック・サイエンティスト)
- 加藤俊明(CGサイエンティスト)
- スコット・ストックダイク(ソニーイメージワークス社 VFX スーパーバイザー)
- マイケル・ホルツル(リズムアンドヒューズ社 リードアニメーター)
- 三橋忠央(デジタルドメイン社 リードテクニカルディレクター)
- 鈴木剛夫(デジタルドメイン社 リードテクニカルディレクター)
- 山崎貴(映画監督)
- 曽利文彦(映画監督)
- 瀬下寛之(カシオエンターテイメント社 常務取締役/エグゼクティブ・ディレクター)
(以上は WOWOW のHPからコピペさせてもらいました)
いやあ、出てくる人たちの何人かはどことなく普通そうに見えて実はすごく個性的なような感じがするし、一方でそこら辺にいる兄ちゃんみたいな感じの人もいるのだが、これらの取材対象に共通なのは全員が全員、眼が爛々と輝いているということだ。
彼らが信じた未来によって、現在のCG技術は達成されてきたのである。その自負と、さらなる希望に満ち溢れているのである。
僕には実際CGの知識は皆無に近い。上の出演者でも知っていたのは山崎貴と曽利文彦くらいのものだ。紹介される映像を見て、ははあ、この映画のCGを手掛けた人か、ああ、このシーンは凄かったよなあ、などと驚嘆の連続である。また、これだけ多くの日本人が世界的に活躍していたとは知らなかった。
ベクターとかモーフィングとかポリゴンとかタイムスライスとか、知っている用語もあれば知らない用語もあり、前から知ってた仕組みもあるにはあるが、大半は「ふーん」という話で、もちろん聞いても何のことやらさっぱり理解できない話もある。
しかし、実際の画を伴っての説明なので見ればなんとなく解るのである。しかし、よくもまあこれだけ多くの映画素材をちゃんと権利クリアして借りてきたもんだ(中には紛れもないパブリシティもあったけど)。
そして、WOWOW も映画だけでなく、こんなドキュメンタリまで自社制作できるようになったんだとちと感心してしまった。
録画した番組はいつもは見終わったらすぐ消すのだけれど、今回は置いてある。もう1回見ようと思うから。
こういう記事を書くとよく「ダビングを送ってくれませんか」というメールをいただくのですが、ダメですよ、何といっても有料放送の WOWOW はダビング10ではなく未だにコピーワンスなんですから。ディスクに焼いて他人に渡してしまうと自分の分がなくなってしまいます。
僕としてはこの番組は永久保存するつもりである。
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