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Tuesday, September 30, 2008

CX『世にも奇妙な物語 秋の特別編』

【9月30日特記】 録画してあったCX『世にも奇妙な物語 秋の特別編』(2008/9/23OA)を観た。最初のシリーズからもうすぐ20年を迎えようとする看板企画と言っても良いだろう。ただ、今回見てみて、最近少しパワーダウンしたなあという印象が強い。

なんか、ジャスト・ワン・アイデアの企画が多いのである。

今回のラインナップは以下の5話である。

  1. 「ボディ・レンタル」脚本:金杉弘子、出演:内田有紀・吉行和子ほか
  2. 「どつきどつかれて生きるのさ」脚本:浜田秀哉、出演:横山裕・山崎樹範ほか
  3. 「死後婚」脚本:中村樹基、出演:深田恭子・高橋ひとみ他
  4. 「行列のできる刑事」脚本・演出:小泉徳宏、出演:平岡祐太・遠藤憲一ほか
  5. 「推理タクシー」脚本・古家和尚、出演:谷原章介・佐野史郎ほか

1)はもし自分の肉体を他人(の意識)に貸すことができたら、3)は結婚せずに死んだ人たちを死後の世界でお見合いさせる制度があったら、4)は自分の後ろにどんどん人が並んで行列ができてしまう刑事がいたら、というまさにジャスト・ワン・アイデアで書かれた物語なのである。

で、総じて言えば、ジャスト・ワン・アイデアでは辛い。プラス「ひとひねり」が必要なのである。

2)も同じく、もしも大阪が独立国になったらという1つの仮定からスタートしている。

そこから→そうなるとボケと突っ込みが生きて行く上での必須要素となる→結婚と同様にコンビの「結成」が人生の一大事として制度化される→水商売の女性に惚れて結婚を迫る男がいるように、「ボケ・クラブ」のボケ役に惚れて「結成」を迫る男がいたら、という風に連鎖的に設定がなされて行ったのだろうと思われる企画なのだが、今イチひねりが利いていない気がする。

最後は『卒業』のパロディになることは誰にでも予想がつく。

これらの企画を並べて見ると、昔のドリフの大爆笑でやっていた「if もしも・・・」のコーナーと全く同種の企画であるのが分かる(ま、どっちもCXだから問題も不思議もないのだけれど)。

ただ、ドリフのように大爆笑には至らないのである。そもそも笑いを取るのが第一の目的ではないのかもしれないが、せいぜい口の端で笑うだけで終わってしまう。

そして、小さなエピソードを積み重ねてきて、最後に大オチへと繋がる構造に届いていないのである。小さなニンマリがいくつかあって、いつの間にかドラマは終わっているのである。

その辺りが昔の『世にも奇妙な物語』と比べて随分パワーダウンしたなあという感じが否めないところである。全体に脚本家が若返ったこと、昔は大御所も新進気鋭も書いていたのに、最近は若手脚本家ばかりになっているということ──その辺りも原因のひとつかもしれない。

ともかく、ひとことで言って、もの足りない。2)と4)が特に芸がない感じ。4)なんか多分『行列のできる法律相談所』をもじっただけの発想なんだろうけど、結末は見え見えであった。

1)は他の企画に比べてSF的で面白い設定なのだが、物語が浅く、しかも、吉行和子が死ぬところでメロドラマを延々引っ張ってしまってちょっと興醒め。あそこはあんなに引っ張る必要があったのだろうか?

5)はこの中で唯一ジャスト・ワン・アイデア風でない企画で、2人の主演男優の好演もあってある意味見応えがあったのは確か。

乗り合わせたタクシーの運転手(佐野史郎)がいきなり女性キャスター殺害事件についての自分の推理を展開するという話で、推理をすると言いながらまるで自分で殺したみたいに語る運転手が訝しいのい加えて、乗ってきた客(谷原章介)のほうも何やら怪しい雰囲気で、この2人の微妙なやり取りが面白い。

ほとんどタクシー内でのワン・シチュエーション・ドラマで、良く考えてあるし、余韻のある終わり方なのだが、ただ、やっぱりこれも最後にもう1つ何か別の仕掛けがほしかったなあという感じはないでもない。

そんな中、今回の僕のイチ押しは3)だ。ホラーとしてきっちり組み立てられていたように思う。中村樹基という脚本家の名前を憶えておきたい。

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