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Thursday, September 25, 2008

随想:過ぎし日の映画評とブログ

【9月25日特記】 僕は映画を観ると大体その日のうちに映画評を書いてブログに上げている。普段からそういうスケジュールで動いている奴がこんなことを書くと無責任に思われるかもしれないが、しかし、映画の評価は変わるのである。

観た直後の感想なり評価なりがいつまでもその映画の感想なり評価なりであり続ける、というものでもないのである。それは時間を経るとともに変容することがある。だから、その日に書いた映画評の記事が必ずしも未来永劫固定的な評価ではない。

映画評ってそういうもんだと思う。あるいは、ブログって基本的にそういう書き散らし文化なのだと思う。

例を挙げれば、かなり古いところでは、『エレファントマン』は実は却々感動した映画だった。見た直後は結構感動して興奮していた記憶がある。ところが日が過ぎるにつれていつしか「あれは一体何だったんだ?」と思うようになってきた。

別に周囲の評価に左右されたのではない。現にあの映画を観た誰かの意見を聞いたり記事を読んだりした覚えもない。ただ、いつしか評価が変容していたのである。

ま、僕にとって『エレファントマン』は生涯でたった1回しかない徹夜明けで観た映画で、ひょっとしたら徹夜明けという特殊な事情が僕を感動に誘(いざな)ったのかもしれない。ちゃんと寝て起きたら、次第にあんなもんに感動した自分が馬鹿らしくなってきたのである。

そして、冷静に考えてみて、一体どういう発想からああいうテーマで映画を撮ろうと考えたんだろうかなどと訝り始めたのである。

逆のケースもある。つまり、評価が負から正に転ずるもの。

昨年見た『魂萌え!』は、当時の記事では僕はあまり褒めていない。部分的に激賞している点はあるのだが、総体としてはそれほど好意的な表現は用いないまま文章を閉じている。まとめの言葉は「まあまあ良い作品であった」だった。

それが日を経るごとに今度は別の作用が現れてきた。いつまでもいろんなシーンが頭から離れないのである。次から次へといろんなシーンが脳裏に甦ってくるのである。

で、そういう映画こそ良い映画なのではないか、と思い直して、年末恒例で書いている鑑賞映画総括記事では「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい10本」のひとつに選んだ。ほんでそれがちゃんとキネ旬の第8位に選ばれたときの嬉しかったこと!

そういう意味もあって、年末にこういう記事を書くのはとても良いことだなあと思っている。

人の思いは変わるのである。熟成するのに時間がかかるのである。ブログの記事はその一瞬を切り取ったものでしかない。

ただし、それを時系列で追ってくれるのはごくごく一部の固定的な読者であって、ほとんどの読者はその瞬間写真だけを見て過ぎ去って行く。

だからできるだけ時系列的に読んでくれと言うのではない。瞬間だけ見てくれて一向に構わない。ただ、ひょっとしたら今頃は全然違うこと思ってるかもな、という想像力だけは失わずにいてほしいし、僕自身もそうありたいなと思うのである。

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