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Monday, September 08, 2008

松下電器お客様相談センター

【9月8日更新】 会社ではあるIT系企業の人間と仕事をし、家ではマンションの理事会メンバーとして管理会社の人間とやりとりをしていて、最近特に感じることがある。

日本人はいつからこんなに謝らないようになったんだろう?

ひとこと詫びを入れさえしたら許してやろう──そういう構えで待っている我々に対して頑として謝らない。

何故謝らないのか? 多分「だってこっちは悪くないのにどうして謝る必要があるのか?」なんて思ってるんだろうなと思う。そんなことだから話が通じない。

自慢ではないが僕は、こっちは悪くないのに、間違ってないのに謝ったことなんて何度でもある。何かあるといつも安易に謝って来たということではない。それは、あくまでここは謝ることによって進展させるべきポイントだと判断したからである。

こっちが悪くなければ謝らなくて間違っていたら謝るというような単純作業が仕事であるならそんなものは全部アルバイトに任せれば良い。

誤ってないけど謝るべきところなのか、いや、それともここは踏ん張って一歩も引くべきではないところなのか──そういうことを判断するために正社員は、あるいは管理職は存在するのである。

齟齬はどこにでもある。それは他人は自分とは違う感性とロジックで動いているからだ。だから、自分では断じて間違っていないと思っている行動でも、相手から見れば勘違いも甚だしいということもある。

問題はそういうことに思い至る想像力があるかどうかである。「自分は間違ってない」と強弁することだけが仕事なのかどうかということである。

ウチの社内にもそういう想像力が欠如した人間がいた。「私は悪くないのに、なんで私が謝らなければならないんですか?」と詰め寄られたことがある。

その答えは「謝るのが君の仕事だから」である。悪い人が謝るのではない。仕事を進める人が、仕事を担っている人が謝るのである。

謝るのは会社を代表しているからだ。普段「自分には任せてもらえない」と嘆いてばかりの君にとっては、社を代表する仕事ができるまたとないチャンスではないか? 確かにカッコいい仕事ではないかもしれない。だが、カッコいいことだけを求めるのは都合が良すぎるし、そういう考えでは仕事は果たせない。

謝るのはカッコ悪いかもしれないが、そこに至るまでには冷静な判断力と断固たる決断力と不断の忍耐力を必要とする。自分で「ここは謝っておくべきだ」という結論が出せたなら会社員としてはそろそろ一人前ではないだろうか。

僕が子供のころ、アメリカ人は決して謝らない、とうような話を何度も聞いた。それはアメリカはロジックの国だから、謝るということは非を認めるということであり、非を認めるということは賠償責任を負うということだから。つまり、謝ってしまうと裁判に負けるからという判断である。

貿易の仕事で始終アメリカ人と交渉していた父もよく言っていた。

あいつらは道で車が接触事故を起こして、明らかに自分が一方的に悪いと思っていても、とりあえず車から飛び出して相手の運転の仕方をなじる。

ところが、いつだったか読んだ本では、最近では米国でも極力謝る方向に変わりつつあると言う。謝ったほうが賠償金額が少なくて済む傾向があるということに誰かが気づいたのだそうだ。

日本では昔からそうだった。まずちゃんと自分の非を認められる相手かどうかということが見極めの最初のポイントであり、それができるなら信頼できる相手であるということであり、それができないような馬鹿野郎なら全面戦争である。

ところが、最近日本の社会にも「非を認めると不利になる」と信じて頑として認めない奴、いや非を認める度量のない臆病者(だから内心悪いと思っている時でさえ謝ることができない)と言ったほうが良いかな、あるいは言葉では謝るのだけれど交渉は一歩も引かない──そういう人が増えているように思う。ここでは非を認めて一歩引いたほうが長期的な利益総額が大きくなるかもしれないという想像力が働かないのである。

さて、前置きが長くなったが、ここからが書きたかったことで、実は冷蔵庫が故障して松下電器のお客様相談センターに電話をしたのである。で、電話に出てきたお姉さんに事情を話すと、これが見事に謝るのである。

それはご不自由をおかけしました。申し訳ございません

そして、その電話を修理相談窓口に転送してもらうと、ここでも出てきたお姉さんがいくつか質問をした後、

ご迷惑をおかけしてまことに申し訳ありません

と異口同音に詫びるのである。そうまで言われると、

いやいや、別にあなたが悪いわけではないでしょう

と言いたくなる。でも、そういうもんでしょ。

さすが松下電器である。つまり、組織が組織としての体をなしているのである。

悪くない奴がちゃんと謝っているのである。

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