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Saturday, August 23, 2008

映画『アクロス・ザ・ユニバース』1

【8月23日特記】 映画『アクロス・ザ・ユニバース』を観てきた。ビートルズの楽曲に惹かれたのではない。予告編の映像に魅せられてしまったのである。初日を心待ちにしていた。

観客は非常に広い年齢層に跨っていた。これもビートルズの偉大さか。

僕自身もビートルズ世代ではない。それはもう少し上の世代で、僕らは「遅れてきたビートルズ世代」だ。もちろんビートルズの存在は知っていた。しかし、それは社会現象として認知していただけで、実際に聴き始めたのは彼らが解散してからである。つまり、僕らはビートルズの全作品が最初から出揃った状態で聴き始めたのである。

でも決して彼らの全作品を知っている訳ではない。ただ、確実に半分以上は知っている。半分から3分の2っていうところかな。今日の映画で使われていた曲で知らなかったのは Why Don't We Do It In The Road? だけかな。パンフによると、あっ、そうか、これはローリングストーンズの Street Fighting Man に対する返歌と言われている作品だ。

監督はブロードウェイ・ミュージカル『ライオンキング』の演出家で、「天才」と言われるような人らしい。で、撮影監督は『アメリ』を撮った人だ。なるほどねえ、という感じ。

この映画はビートルズの作品をもとに構成された映画である。落語の三題噺ならお題は3つだが、なんと33曲が織り込まれている。これだけでも相当に大したもんだ。

英国リバプール育ちの青年ジュードが主人公。舞台はアメリカ合衆国。時代はビートルズが活躍していたのと同じ1960年代。──ベトナム戦争、反戦運動、ドロップアウト、ヒッピー文化、サイケデリック──そういう時代の要素を巧くストーリーに取り込んでいる。

ジュードが主人公で、その恋人がルーシー。となると、どこかで(多分かなり盛り上がるところで) Hey Jude と L.S.D. が掛かるんだろうなあと誰でも思うはずで、そこは全く裏切られない。しかし、初めのほうのシーンで造船所の出納の爺さんの台詞に「俺も64歳になって」というのが出てきて When I'm Sixty-Four が歌われるのかと思ったら、それはなし──そういう風な「練り込み」は随所にある。

例えばジョジョという名のギタリストが登場するのだが、これはすぐに Get Back を思い出す。また主要登場人物のひとりであるプルーデンスはバスルームの窓から入って来る(「まんまやんけ!」と突っ込みたくなる)。

ジュードの親友でルーシーの兄の名がマックス──これはどこから取って来たのか、それらしい曲も掛からなかったので最後まで解らなかったのだが、Maxwell's Silver Hammer かららしい。そう言われてみると「なるほど」が3つぐらい思い浮かぶ。

さて、冒頭に書いたように僕は画に釣られて見に来たのだが、その前に楽曲が素晴らしかった。原曲素材の素晴らしさだけではない。まず、声が良い。吹き替えはしていないらしいが、全出演者の声が良い。

そしてアレンジが良い。ゴスペルの Let It Be には震えが来たぜ! そして Come Together のアレンジは1986年の日テレ『Merry Xmas Show』のオープニングで使われたものを思い出した。この曲を現代風にしようとするとこういう風になるんですね、きっと。んで、歌ってるホームレス他1人3役のおっさんはジョー・コッカーかい!

ジョー・コッカーとか、あるいはドクター・ロバート(この曲も中では歌われなかった)に扮したボノとか、そんな有名な人が出て来るとは思いもせずに見てるから見事に見逃してしまう。

それから原作に忠実なハーモニーだが、それをアカペラ・コーラスでやった Because。ほぼ無伴奏に近い独唱が心に沁みた Blackbird。

そして、ひとつひとつの曲がよく出来ているのは言うまでもなく、よくこんな曲をストーリーに織り込んだなあと感心するのがいくつか。

例えば Strawberry Fields Forever とか Revolution とかタイトル見ただけでそうだし、歌詞を思い浮かべればどこにどうやって放り込むか頭の痛いところであるはずなのに、見事に時代に相応しい形でストーリーの流れにも自然に溶け込んでいるのが偉い!

I Want You が徴兵の歌になるとは思いもしなかったし、括弧書きのサブタイトルになっている She's So Heavy には笑ったぜ。

そして、何よりも映像である。

「ひょっとしたら予告編で観た以上のものはないかもしれない。でも、まあいいや。楽曲が素晴らしいのは分かっている訳だし、MTV見るつもりで楽しんで帰ればいいや」と思って見に行ったのだが、いやいや、この映像の凄さは予告編には留まらなかった。

ダンスとCG──身体性とテクノロジーの合体だ。そして舞台のミュージカルでは絶対にできない自由自在の編集による場面転換──横溢するカラーとイメージの嵐!

アメフトやボーリングのシーンでの画面の奥行きをたっぷり使った動き、徴兵検査場のすごいキャラたちのダンス、Because での真上からのカメラ、野戦病院でのエロチシズム漂うめくるめくダンスと合成、アパートの中の空、水の中での全裸の口づけ、そして何よりもあのストロベリーの赤の爆発!

とても全部は指摘できない。

見ている途中から「DVDが出たら絶対買うぞ」と思ってしまった。もう一度観たい。でも、とりあえず大満足。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

It's a Wonderful Life
日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~

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Comments

TBありがとうございました。

また、この度は、間違ったTBを贈ってしまい申し訳ありませんでした。改めて、TBさせていただきます。お手数をおかけしてすみません。

私もビートルズ世代よりは後の世代に属しますが、それでも、聞いたことのある曲がほとんどだったこともあり、楽しめました。

之に懲りず、今後もよろしくお願いします。

Posted by: MANAMI | Monday, August 25, 2008 at 06:56

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