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Monday, July 21, 2008

映画『パークアンドラブホテル』

【7月21日特記】 映画『パークアンドラブホテル』を観てきた。第17回PFFスカラシップ作品。2008年ベルリン国際映画祭最優秀新人作品賞受賞。──という割には・・・、というのが正直な感想。

目立ったのは色遣い。うん、これは良かった。特にラブホテルの屋上のパークにある遊具やベンチなどの色、そしてそこで遊ぶ年寄りや子供たちや音楽家たちの服の色。これらが味気ないラブホテルのくすんだ内装と見事な対照を成していた。

最近色遣いが印象に残った映画と言えば『西の魔女が死んだ』だが、あれは日本の中のアメリカ、これは新宿から大久保の辺りという感じがする。

ただ、どうなんだろ。全体的に練れていない、ぎこちない映画という印象が残った。

ラブホテルのくせに屋上を公園風に改造して市民に開放している奇妙なオーナーであるりりィに焦点を当てているのだが、若い熊坂監督に59歳の女性を描かせるのはちょっとしんどかったのではないだろうか? プロデューサがそのように誘導したらしいが、これは明らかにプロデューサの失敗だと思う。

映画はりりィを中心として、彼女に絡んでくる3人の女性たち(13歳の美香:梶原ひかり、39歳の月:ちはる、26歳のマリカ:神農幸)のオムニバス風の形式になっているのだが、むしろこのうちの誰かを主役に仕立てて、そこに絡む脇のひとりとしてりりィが演じる風変りなラブホのオーナーを描いた方が、少なくとも熊坂監督にとってはやりやすかったのではないだろうか。

確かに屋上が(セックスとは無縁の)子供たちや老人たちが集う公園になっているラブホテルというのは秀逸な思いつきではあるが、そのジャスト・ワン・アイデアによりかかり過ぎている嫌いがある。

3話という構成にしても、なんだか「長い話を書くには息が続かなかった」のかな、と思ってしまう。手練の脚本家ならこの3人が別々に現れるのではなく、もっと立体的に交差する物語を考えただろう。

監督が「ナチュラルにドキュメンタリーのように撮りたい、作為的にではなくリアルに撮りたい」と拘ったというカメラワークにしても、僕の目には「予算の都合でワン・カメにしました」という風にしか見えない。

こういう風に1台のカメラで切らずに撮って成功するためには、かなり研ぎ澄まされた演技力とよほど練り込まれた台本の裏打ちが必要であると思う。

ところがこの映画では台詞があちこちで死んでしまっている(この台詞が死んでいるという感覚はベルリンの審査員には理解できなかっただろうな)。如何にも頭で考えましたという、作りもの感あふれる台詞廻しになってしまっている。筋運びもところどころ強引でご都合主義なものに堕ちている。非常に残念だ。

ここ4年間のPFFスカラシップ作品を並べてみようか。

  • 第13回『バーバー吉野』(荻上直子監督)2004年キネ旬29位
  • 第14回『運命じゃない人』(内田けんじ監督)2005年キネ旬5位
  • 第15回『水の花』(木下雄介監督)2006年キネ旬59位
  • 第16回『14歳』(廣末哲万監督)2007年キネ旬39位

どうです? ものすごくレベルの高い作品が並んでるでしょ?

生憎『水の花』は見逃したんだけど、他の3作はいずれもスカラシップ作品とは思えないような完成度だった。そして、これらの完成度と比べると『パークアンドラブホテル』は一段も二段も劣ると言わざるを得ない。

ちょっときつくなっちゃったかなあ。まあ、昨日是枝裕和監督によるプロ中のプロの仕事を目の当たりにした直後だから分が悪いよね。仕方がないか。

着想は良いので、まだ若いんだし、精進して今後もっともっと良い映画を撮ってほしいと思う。

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