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Monday, June 02, 2008

プリントゴッコの終焉

【6月2日特記】 理想科学工業が"プリントゴッコ"本体の出荷を今月末で打ち切るそうだ。

プリントゴッコの発売は1977年。僕が最初に印刷したのは年賀状の羊のイラストだったから、買ったのは未年の前の午年、1978年、つまり発売の翌年ということになる。

これは僕にとって革命であった。そう、僕の個人史における産業革命。それまで家庭内ではどうしてもできなかった大量生産の幕開けであった。

ポイントは単に大量に生産できるということではない。たかが年賀状であるから大量というほどのものでもないということもあるが、それくらいであれば頑張れば書けたのである。しかし、問題は全く同じものを大量に書くことは決してできないということであった。

プリントゴッコが世に出る前はイモ判(若い人はご存じないだろう。芋の切断面に版画を施したものだ)くらいしかなかった。イモ判を使えば確かに同じ図柄を何枚も押すことができた。が、多色刷りができなかった(重ねれば別)ことと、全く同じ位置に押すのは不可能だということが決定的な違いだ。

プリントゴッコによって、(刷るに従って多少色味は変わってくるが)同じものを何枚でも作り出すことができるようになった。僕はそれを驚嘆した記憶がある。

その後いろんなものが出てきた。それこそプリントゴッコの存在を脅かすいろんなものが。

ワープロの出現には僕はそれほど驚かなかった。ま、当初はディスプレイも1行しかなかったし、保存できる量もごく僅かだったという事情も大きいが・・・。単に出来上がった原稿を印刷屋さんに出さなくても済むということにメリットを感じたに過ぎない。逆に言うと、それは専ら仕事用の機械であったということだとも言える。

パソコンが出てきて、それは個人のものとなった。(大量に)保存できるということ(そして、それは文章に限ったことではない)。そして保存してあるものを呼び出して、少し書き換えるなどという再利用が可能になったということ。これも新しい時代の産物だと思った。しかし、革命だと思うほどではなかった。

スキャナが出て、紙の資料でしか持ってなくて劣化が避けられず、複製もかなわないはずのものが息を吹き返すことになった。これには狂喜した。でも、やはり革命とまでは思わなかった。

革命だと思ったのはスキャナに付属でコピー機能がついたこと。僕はまさか家庭内にコピー機が設置される時代が来るとは夢にも思わなかった。家の中で複製ができるのである。

そう考えると、僕は同じものが何枚もできることにいつも驚きを感じてきたわけだ。

しかし、その間、同じものがいつまでも君臨するということはなく、主役は次々と変わり、いつしかプリントゴッコは消えて行くこととなった。なんだか皮肉なような気がする。

もはや"真似ごと"でも"ごっこ"でもなく、個人が家庭で正確にプリントできる時代になったのである。これが産業革命でなくて何だろう。いや、プリントゴッコの登場こそが産業革命の幕開けであり、昨今の多機能プリンタの登場によって、僕の個人史における産業革命は完了したような気がする。

大げさだと思うかもしれないが、なんだか感無量である。科学の進歩に心から感謝したい。

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Comments

私もプリントゴッコにはお世話になった。団塊の世代としては、ずっと前からガリ版というものがあって、その延長線のうえにあるものとしてとらえた。問題は、自分の書いた字がそのままプリントされてしまうことで、自分の字はあまり見たくないフィギュアなのだ。だから、下手な絵は描いても、字を書くことはなかった。別途注文したゴム印を押せばいい。
ということで、私にとって、最も革命的なトゥールはパソコンではなく、ワープロである。デスクトップというより、デスクそのものを占拠する大きさのNEC文豪を数十万円で購入、でも、常用漢字でも使えない字の多かったこと!ワープロ専用機だけでも、10を超える台数を購入したということは、それだけ開発途上ではあるが、革命的機器だったということか。末期のラップトップには、すでに百数十キロバイトの、ハードディスクのようなものもあったなぁ。

Posted by: hikomal | Wednesday, June 04, 2008 at 22:30

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