社内試写会『僕の彼女はサイボーグ』
【5月14日特記】 社内の試写会で映画『僕の彼女はサイボーグ』を見た。『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジョエン監督。
実は、所謂「在日」の人は別として、韓国人監督による映画を観るのは生まれて初めてなのである。だから、この映画が彼の作品の並びの中でどうなのか、所謂「韓流」作品の中ではどのような位置づけをされるのか、韓国映画通の人の話を聞いてみたいなあと思った。
もしも自分の彼女がサイボーグだったら、という言わばジャスト・ワン・アイデアの映画なのである。
仕草の可愛い、か細くか弱い女の子ではなく、感情も情緒もなく、従って恥じらいも躊躇もなく、怪力・俊足で、主人公の男性が彼女をかばうのではなく、迫り来る危険の中を彼女が彼を抱きかかえて疾走するのである。こりゃまた面白くて痛快な想定である。よくまあ考えついた、というか、これを考えついた時点で既にこの映画の勝利が確定したようなものだ。
しかし、そもそもサイボーグなんてものが現代の科学で作られる訳がないので、未来から来たことにする。どういう関係で自分のところに来たかという問題にぶつかるので、いっそこのこと未来の自分が作ったという想定にしてみる。そして、何しにこの時代に来たかという疑問に答えるため、自分を救うため未来の自分が送り込んだことにする。
──この映画は、そういう風にして、言わばブレストするみたいにして少しずつ設定や筋を決めて言ったのではないかな? 観ていてそういう感じを受けた。
その一方で、少しストーリー展開が粗いなあ、というのと、繰り広げられる世界があまりにストレートなのでちとしんどいなあというのが第一印象だった。
小出恵介という人はそもそも演技が大げさ目の人で、僕はあまり好きな役者ではないのだが、それが韓国映画特有の(そうですよね?)大げさ目の演出にぴったりと嵌ってしまった感じで、この辺はもう好きか嫌いか、単純に趣味の問題という気がする。
ただ、相手役の綾瀬はるかは抑え目の演技で、サイボーグらしい冷たくぎこちない動きを見事に演じ切っている。この役は綾瀬はるかでないとできないだろうなあ。うん、長澤まさみにも宮崎あおいにも上戸彩にも新垣結衣にも石原さとみにも相武紗季にも無理な役柄だと思う。まさに綾瀬はるかならではの好演ではないだろうか。
かなり胸を強調したコスチュームも良かった。いや、僕が嬉しいと言うのではなく(ちなみに僕は巨乳に興味なし。また、別に綾瀬のファンでもなし)、この映画の設定として、それは絶対に必要な要素である。
で、東京の大地震の特撮がすごいなあと思って見入っていたら、なんと最後はあの展開である。なんと、そう来たか。それはいくらなんでも思いつかんでしょ。そんな風になっちゃって、それでもあんな風にあんなことするなんて、あまりと言えばあまりの筋運びじゃないですか。
チラシには「結末は──恋人にも秘密です」と書いてあるけど、そりゃそうだぜ。この結末の展開、これ、この映画の命ですね。いや、この展開見るだけでも値打ちあるわ。すっごいねえ、それ(って書けないところが悔しい)。
で、それで終わりかと思うと、まだ続きがあって、なるほど、何だか意味が判らなかった1回目の出会いの謎が解き明かされる。なるほど、そういう重層構造になってたのか(って、これも書けない)。
で、最後そうなって、それから先はどうなるの? なんか『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』ばりの(とまで言うとちょっと大げさすぎるが)ややこしさに目くるめく面白さ!
で、結論としては、非常に「知的な遊び」という感じがする。
「知的」であるために下手すると知に走りすぎる傾向が出てしまうのだが、一方筋運び等の細かい整合性については逆に「いいの、いいの、遊びなんだから」と流している感じがする。
──なるほど、韓国人監督ってこういう映画を撮るのね、などと生まれて初めて観た韓国映画を早計に総括してしまったのでありました。もちろん的外れなんでしょうね(笑)
で、面白かったです。そのひと言にまとめられる映画でした。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
Comments