映画『銀幕版スシ王子!』
【4月28日特記】 映画『銀幕版スシ王子! ~ニューヨークへ行く~』を観てきた。
EX系列で8話放送されたTV番組のほうは一度も観たことがない。しかし、観たことがなくてもこの映画を観るのに支障は全くない。大いに楽しめた。
パンフを読むと、この映画がTVドラマの続編なのではなく、そもそも映画の話が先にあってドラマ版はそのエピソードゼロとして作ったのだとか。
まあ、なんと馬鹿馬鹿しい映画か! こりゃもう無茶苦茶である。と言うか「ハチャメチャ」のほうが表現としてはしっくり来るか。
グルメ物のドラマをやる時に、映像や音では伝わらない"味"というものをどうやって表現するか、というの大きなテーマである──などと考えるのが凡人の発想なのだが、この映画はそんな凡庸な所に留まっていない。旨いものは旨いのだ。それはそれなりのシチュエーションとコンテクストの中で、それなりの役者が「旨い!」と言えばちゃんと伝わるのである(笑)
なにせ沖縄空手とスシである。この組合せはそんじょそこらの作家には思いつけまい。まさに堤幸彦ならではの秀逸なギャグである。
その大きな設定に加えて「魚の目症候群」だの「沖縄の海ガメ」だのという何だか分からない小道具があって、寿司の握り方の極意を身につけるためにカカシになったり居合抜きしたり、なんぼなんでもやり過ぎでしょう(笑)
もう仮面かぶってんのが誰か丸分かりであっても、展開があまりに読み通りであっても、そんなもんものともしない面白さ! あっぱれ!
僕は一昨日には『少林少女』という、これまた少林拳とラクロスというとんでもない組合せの映画を観たばかりなので、どうしても両者を比較してしまうのだが、遊びのセンスとしては『スシ王子』のほうが、と言うか、(少なくともこの2本の映画の比較においては)本広克行より堤幸彦のほうが格段に上だ。うん、格段の差で『スシ王子』の勝ち!
スタッフがほど良くふざけて楽しんでいる姿が伝わってきて、こちらの頬も緩んでくる。あちこちに散りばめた"小細工"が本当によく効いている。この猪口才(ちょこざい)さが笑えるんだよね。うん、本当に良いセンスだと思う。
ほんでもって、画作りはと言うと細かいCGてんこ盛りだし、タイムスライスカメラ使ったりして、やっぱりいつものあの堤幸彦なんですよね。
出演者も良いねえ。北大路欣也ですよ。この大物役者にはおちゃらけやらせずに100%まともな演技をさせていて、これが言わば寿司のわさびってとこかな。釈由美子・石原さとみ・太田莉菜の3人の女優が三者三様に魅力的。もちろん主演の堂本光一もいい味。
お前なんか、握ってやる!っていうキメの台詞が頭から離れなくなってしまった。
でもって、「握ってやる!」を略したらNYになると主張しているところがこれまた最高!
いやいや満喫。今日ばかりは堤幸彦の本領を実感した。
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