映画『少林少女』
【4月26日特記】 映画『少林少女』を観てきた。この手の映画は好きなのである。
いや、別に柴咲コウのファンではない。カンフー・アクション・コメディって言うか、ほら、誰もが『少林サッカー』を思い出すじゃないですか。面白かったなあ、あれは。で、その『少林サッカー』のチャウ・シンチー監督がエグゼクティブ・プロデューサーとして参加していて、監督は本広克行で、制作プロダクションは言わずと知れた ROBOT となると、これは「買い」でしょう。
のっけから壮大なCG。CGだと丸判り。でも、スケールでかくて気持ちいい!
この感じが最後まで続く。
で、柴咲コウなんだけど、彼女こういうアクションもの結構好きみたいだね。『日本沈没』でもかなり体張ったパフォーマンスしてたし。当り前のキャリアウーマンみたいな役柄のオファーもいっぱい来るだろうに、わざわざこういう指向性を持った女優(あるいは、それを抱えるタレント事務所)って今の日本では珍しいんじゃないかな。映画界としては宝ですよ、これは。
しかし、柴咲に素直に少林拳やらせずに、まずラクロスである。
このあたり『少林サッカー』のサッカーを単純にラクロスに置き換えただけってのが笑えるよね。
なぜラクロスかっつーと、桜沢凛(柴咲コウ)が中国での9年間の修行から日本に戻ってみたら、元の道場は潰れて廃屋状態で、かつての先生(江口洋介)は中華料理屋のオヤジになっていて、そこでバイトしてる中国人少女(キティ・チャン)に誘われて大学のラクロス・チームに参加して、挙句の果てに大学編入まで認められてしまうといういい加減さ。
設定は荒唐無稽、筋は茶番。一番解らんのは悪役で出てくる仲村トオル──こいつが一体何者で何を企んでいるのかが辻褄合うように描かれず、消化不良のままクライマックスを迎えてしまう。
でもテーマ的には、あくまで個人プレーでしかない武道/格闘家とチームプレーである球技の選手としての葛藤とか、終盤ではスターウォーズさながらの(と言うか、もどきの、と言うか、パクリの)光と闇の相克みたいなことを大真面目に扱っていたりする。
ストーリーは確かに中盤でダレて来るのだけれど、でも、カメラワークが楽しいのでなんとか凌げる。始まってすぐの駅のシーンでの柴咲の股間から覗いた画とか、終盤の鏡の部屋での対決シーンで透明な床越しに柴咲を真下から撮ったシーンとか(いずれもエロティックなものを連想したかもしれないけど全く違う)非常に工夫が凝らされていて飽きない。
ともかくカメラがよく動く。大きく動いて動き回る。引いたり振ったりしたあと途中から合成なんてのもアリ。そしてともかく画面を思いっきり広く使っていて、これでこそ映画のカメラワークだと思った。
そして最後にいよいよ少林対決だ。かつて『無問題』シリーズでも活躍したナイナイの岡村隆史が予想通り本領発揮したり、それまでボケ役だった中華料理店の中国人2人(『少林サッカー』にも出ていたティン・カイマンとラム・チーチョン)が実は少林拳のかなりの使い手だった、なんて誰にでも読める展開が嬉しい。
んで、その2人の助けも得て多勢に無勢の展開を次々と制し(もちろんワイヤー・アクションもあるよ)、遂に最上階で仲村トオルとの対決。ここらあたりからもう怒涛のSFX!
あゝ、すっげー!
ほんでこの戦いの結末はと言えば、おのれ、観客をバカにしとんかー!と怒鳴りたくなるぐらいひどい!
いえいえ、怒っちゃいけません(笑) この手の展開に腹立つ人は見に来ちゃいけませんよ、この映画は。ひえー、楽しーっ! おもしれーっ!
でも、一番面白かったのはエンディングのタイトルバックの少林ラクロスの試合、これ、少林サッカーのまんま(笑)
いやー、素直に少林ラクロスをメインにした映画にしたほうが良かったかも。
なんか褒めたいのか貶したいのか判らない文章になってきたが、もちろん意図としては同時に褒めて貶したいのである。で、貶してるところがあっても結構楽しい映画であるというのが僕の全体感なのだが、いくつかの欠点を耐えられなく思う人も間違いなくいるだろうとは思う。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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