『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』
【3月15日特記】 『ライラの冒険』の映画評で『ナルニア国物語』は観ていない(けど後者のほうが面白いらしい)と書いたが、たまたま WOWOW で放送があったので録画して観てみた。
確かに『ナルニア国』のほうが面白かった。
作りとしては、こっちのほうが「おとぎ話」風で、はっきりと子供向けを意識しており、従ってその分意識的な単純化があったり、instructive と言うか教科書的な薬臭さもないではない。
CGなども『ライラ』のほうが出来が良いと言って良いだろう。『ナルニア国』のほうは動物キャラの動きが如何にも作りものっぽい感じがする。しかし何かに似てるなあと思ったら、ミッキーやドナルドと同じ動きをしているのである。
ということは、このぎこちなさは意図的なのである。なるほどディズニー映画なんだ、という気はする。
で2つの映画を見比べて、決定的な違いはストーリーの「めりはり」であると思う。『ナルニア国』のほうは『ライラ』のようにテンポ良くは進まない。そこには紆余曲折がある。子供騙しの紆余曲折と言えなくもないが、親が子の成長を見守るような感じが醸し出されているのはディズニー伝統の力なのかなあという気がする。
そして、カメラワーク的には『ナルニア国』のほうが圧倒的に面白い。派手なCGで迫ってくる感じがしない代わりにあっちから撮ったりこっちに回ってみたり、一生懸命画作りをしているのが感じられて、僕は大変好感を持ったのである。
ネット上の評判はどうなのかと、ちょっとあちこち見てみたら『ライラの冒険』を激賞している人もいるようだ。ま、感じ方がいろいろあるのは当然で、でも、それに対しては「ふーん」と言ってるしかないのだが、『ナルニア国』も『ライラ』も続編があることを明言して作られている中で、前者のほうが1話としての完結性が高いことも、僕が前者に軍配を上げる一因である。
『ナルニア国』はもうすぐ公開される『第2章』を観に行こうかな、『ライラの冒険』の今後の2作は、さて、どうしようか、というのが僕の正直な感想である。
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