握れるだけの寿司職人
【2月24日特記】 先日赤坂で入った寿司屋。テレビ番組で紹介されたのだそうだ。確かオーナーは香港の映画スターだとか。ところが、その名前がジャッキー何だったか思い出せない。
前で握ってくれていた板前さんに「ここのオーナー、ジャッキー何さんでしたっけ」と訊いたら、いや「日本人ですよ」。
──と、これだけならどうってことない話。
でも、板さんは単に「日本人ですよ」と答えたのではなかった。質問した途端に俄然機嫌が悪くなったのである。
知りません。関係ないですもん。私はお客さんにしか興味がありませんから。社長のフルネームがなんだったかなんて憶えてないです。お客さんにしか興味ありませんから。
(そこまで言った後でぽろっと「日本人ですよ」と言った)
って、社長の名前を知らない社員、と言うか、客に社長の名前を尋ねられて答えられない社員って、そんなに自慢するべきものか?
お客さんに興味があることは良いことだし、可能な限りお客さんに集中しようというのも見上げた態度だ。でも、それ以外は知らないと言うのは欠陥社会人ではないか?
しかも、そんなに機嫌悪く言われると、お客さんは引いちゃうよ。
あるいは社長との間に何か確執めいたものがあったのかもしれない。ならば、なおさらそれを客に見せてはいけない。
おまかせにしたら色々珍しいところ握ってくれたし、美味しかったし、安かったし、時々差し挟む冗談もベタではあるが面白かったし、そこまでは何の問題もなかったのに、こういう態度がそういうすべてをぶち壊しにするかもしれないということが読めない板前。
寿司職人はもちろん技術者だが接客業の一端を担っているということが理解できない板前。
最近こういう半分欠けたような人が多いと思うのは僕らの年代だけなのだろうか?
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