キネマ旬報2月下旬号(2)
【2月11日追記】 去年やってみて面白かったので、今年もキネ旬の1-10位の得点を分解してみた。何人の審査員が平均何点ずつを投じてこの得点が出来上がったのかという分析である。
あまりご存じでない方のために改めて書いておくと、キネ旬の審査は各審査員(2007年度日本映画の場合は56人)が1位と思う作品には10点、2位には9点という具合に総持ち点55点を投じて行くシステムである。
統計学的にちゃんと分析するとなると分散をはじいたりするんだろうけど、とりあえず簡便で見た目も解りやすい方法として「人数×平均点」を出してみた。1点以上をつけた審査員の数×その平均点である。
これをこのように分解することによって、多くの人に受けたのか一部の人に高く評価されたのか、その映画によって微妙なばらつきが見えて来る。
さて、計算してみると、
- 『それでもボクはやってない』
323点=43名×7.51 - 『天然コケッコー』
172点=22名×7.81 - 『しゃべれども しゃべれども』
153点=25名×6.12 - 『サッド ヴァケイション』
146点=21名×6.95 - 『河童のクゥと夏休み』
125点=19名×6.58 - 『サイドカーに犬』
118点=18名×6.56 - 『松ケ根乱射事件』
108点=19名×5.68 - 『魂萌え!』
106点=19名×5.58 - 『夕凪の街 桜の国』
103点=17名×6.01 - 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
93点=16名×5.81
まず今回の『それでもボクはやってない』が如何に突き抜けているかがよく分かる。前回断トツだった『フラガール』と比べても、人数・平均点ともに圧倒的に高い(今回のほうが審査員の総数が少ないにもかかわらず、である)。
しかし、それよりも驚くのは、『天然コケッコー』がその『それでもボクはやってない』よりもさらに高い平均点をつけられているということである。この思い入れ度はすごい。
ちなみに平均点だけの順位で行くと、1)『天然コケッコー』、2)『それでもボクはやってない』、3)『サッド ヴァケイション』となる。
投票人数の順位で行くと1)『それでもボクはやってない』、2)『しゃべれども しゃべれども』、3)『天然コケッコー』となる。
どうです?
なかなか面白いでしょ、この試み。
ただし、このランキングで気をつけるべき大事な点がひとつだけあって、それはどの審査員も「10位以内」だけを意識して採点しているということ。
解りやすい例を挙げれば、ある作品について審査員全員が「これは良い映画だけど10位以内には入らない。ま、次点の11位くらいかな」と思ったらその映画の合計得点は0点になり選外になる。キネ旬2月下旬号のリストで百何位まで順番に探しても見つからない、良い映画なのにどうして?ということになってしまう。
つまり、キネ旬ベストテンの11位以下について言えば、「ベストテンに入る」と思ってくれた審査員が50~60人の内に1人くらいはいる(ある種そういうインパクトのある)映画のランキングなのである。
なかなか深いよね(@_@;)
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