平成ガメラ3部作
【1月5日特記】 年末に WOWOW で放送した平成ガメラ3部作を録画して、1回で観るとしんどいので2回に分けて観た。
僕はどちらかと言うとゴジラ派だったのでガメラはあまり見ていないのだが、それでも小学生の時に『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』には熱狂したクチである。敵の怪獣の中ではギャオスが飛びぬけてカッコ良かったという記憶がある。
だから平成のシリーズを再開するに当たって、敵役に再びギャオスを持って来たのは大正解であると思う。
最初の1作を観ただけだと、やっぱり子供騙しの感じがして、なんでこんなもんが金子修介監督の代表作とまで言われるんだろう、なんであんなに評価が高かったんだろう、そしてまたなんで金子監督は3本も撮ったんだろう、とクウェスチョン・マークがたくさん脳裏に浮かんだのだが、3本とも観るとさすがに重みが出てくる。
ガメラと戦う男たちがみな凛々しいのである(特に第2作にこの傾向は顕著である)。そして、男も女も出てくる人間が皆魅力的だと言うか人間臭いと言うか・・・。
自衛隊が出動するための法的手続きについてもちゃんと描かれていて、そういうところからもこの話の焦点が人間の所業という点にあるのが判る。
最終第3作ではガメラに家と両親を奪われて以来ひたすらガメラを憎み続けてきた少女が登場し、ほかにも似たような被害者が多数いて(ガメラがあの巨体で都市を歩けばそういう事態が起こるのも当然だ)ガメラを退治してほしいと思っている。この設定はなかなか見事だ。
ガメラと心を通じる少女(藤谷文子)が3作を通じて登場し、最初は勾玉を介して繋がり、第2作では自ら人間との繋がりを絶とうとするガメラの意志で勾玉が割れ、第3作では逆に別の勾玉で邪神<イリス>と繋がった少女(前田愛)が出てくるのだが、しかしここでは藤谷文子は勾玉なしでも「大丈夫、ガメラの気持ちは解っている」と力強く語る。
この辺りが見事に泣かせてくれる。
そして第1作、第2作、第3作と進むにつれて特撮技術は目に見えて進んでくる。第1作が子供騙しに見えてしまうのも、この特撮が今から見るとひどくちゃちだからに他ならない。この3作を通じて特撮監督をしていたのが樋口慎嗣で、これで調子に乗っちゃって『日本沈没』の監督までやっちゃったという訳だ(でも、ガメラ3部作と『日本沈没』の深みの差を考えれば、両監督の技量の差は明らかだろう)。
第3作になると藤谷文子の演技も漸く演技らしくなってくるし、単なる怪獣ものではなく人間のドラマとして成り立たせようとする努力も見えるし、心なしか人間だけのシーンでのカメラワークも凝ったものになってきたような気がする。
結局僕としては第3作を一番高く評価する。ただし、キネ旬での順位を調べてみると、
- 『ガメラ 大怪獣空中決戦』:1995年度第6位
- 『ガメラ2 レギオン襲来』:1996年度第13位
- 『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』:1999年度第22位
と右下がりである。まあ、選ぶほうに新鮮味が薄れてきたという面もあるだろう。いずれにしても、これは1作だけ見るより3作全部を見たほうが感動も満足も深いものがある。
特にシリーズを締めくくる第3作の終わりようがなかなか見事である。ガメラって孤独なヒーローだったんだなあと、改めていとおしくなってしまった。
Comments
こんにちは。突然のコメント恐れ入ります。
私は「ガメラ医師のBlog」管理人のガメラ医師と申します。2005年8月以来、映画ガメラに関する情報収集Blogを更新しており、こちらの記事にはガメラの検索から参りました。
拙Blogでは従来より、2007年12月にWOWOWで放映された平成ガメラ三部作に付いてのBlog記事をまとめており、この度1月8日付けの更新,「視聴記 01/08」からのリンク先にて、こちらの記事を引用・ご紹介させて頂きましたので、ご挨拶に参上しました。差し支えなければ拙Blogもご笑覧頂ければ幸いです。
長文ご無礼致しました。それではこれにて失礼します。
Posted by: ガメラ医師 | Tuesday, January 08, 2008 18:47
> ガメラ医師さま、いや医師を名乗られる方ならばガメラ先生と呼びかけるべきか?
ご丁寧なコメントかたじけのうござる。で、ブログも拝見いたしました。なんとも端正なサイトですね。そして、ガメラというワン・テーマでブログが立っちゃうんですね。すごいっすね。感服いたしました。
Posted by: yama_eigh | Tuesday, January 08, 2008 22:39