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Thursday, January 17, 2008

甦る、漲る、恐怖感

【1月17日特記】 この日が来るたびに阪神淡路大震災について書いてしまうのは、何も「この体験を風化させてはいけない」という使命感に燃えているからではない。

単に恐怖感が甦ってくるからである。

1月17日、3連休明け、火曜日、満月──そういうものとセットになって、無条件に恐怖感が甦って来る。

もういい加減風化してもらっても良いのにとさえ思うが、いや、部分的にはかなり風化してしまっているはずなのだが、どうしても風化せずに回路が閉じないままあの日の恐怖感と直結している要素がある。それが、例えば僕の場合は、1月17日、3連休明け、火曜日、満月などである。

今年の3連休は秋田に旅行した。その途中で突然妻が「あの時も3連休に旅行して帰ってきた翌朝だった」と思いだした。部分的な記憶が戻り、恐怖感がすぐに漲った。

ゴーッという地響き

大きな縦揺れに続いて激しい横揺れ

ひと揺れごとに大きくなる振幅、蒲団の上で左右に転がされる自分のからだ

「こんな硬い壁や天井が家の形を保ったままでいつまでも揺れに耐えるはずがない。ポキッと折れるか天井が落ちてくるかして、ああ、俺は死ぬんだな」と思ったこと

食器棚から食器が連続的に落ちて割れるガチャガチャいう音

CDラックからCDが連続的に飛び出して折り重なるカサカサいう音

真っ赤に燃えた神戸上空

NHK-BSしか映らないTVで延々放送されるブルーベースに行方不明者名の羅列

等々。

そう、前の日まで僕らは東京の妻の実家に行っていた。

揺れが収まったとき、ともかくパジャマを脱いで服を着ようと思ったが、タンスもクローゼットも折り重なって倒れており、服を取り出すどころではなく、仕方なく前日脱いで洗濯機に放り込んであった衣服を取り出した。

洗濯機もまた、その上に取り付けた乾燥機とセットで倒れて浴室のガラス戸を突き破っていたが、幸い蓋がこちらを向いていたのである。

また、あの日がやってきた。良いことか悪いことか、またあの記憶が甦る。

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