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Tuesday, October 23, 2007

日記と10ヤード

【10月23日特記】 新聞で「ブログ」という言葉が使われるとき、大抵はこういう注釈が括弧書きで続いている。

(日記風の簡易型ホームページ)

これを見ると僕が思い出してしまうのが次の言説である。

「4回の攻撃で10ヤード進むと新たな攻撃権が与えられる」

──知ってる人には何のことだかすぐに分かるが、知らない人には想像もつかない。そう、アメリカン・フットボールのルール解説である。

僕は若いころからアメリカン・フットボールが好きでTVで日本の大学や社会人のチームの試合をよく見ていた。当時はアメリカン・フットボールは今にもまして圧倒的にマイナーなスポーツで、競技人口も観客も極めて少なく、従ってTVの放送では必ずこの「4回の攻撃で10ヤード」云々の説明があった。アメリカン・フットボールの試合を見てもらうためには必要不可欠の口上だと考えられていたのではないだろうか?

最近では必ずというほどではなくなったが、それでもTVで観戦しているといまだによく耳にする。特にNHKが中継していると聞かされる確率が高い。

ところが、思うにこれはあまり意味のない解説なのである。

なぜなら、4回の攻撃の間にどのようにして10ヤード進もうとするのか、そして守備側はどのようにしてそれを阻もうとするのか、そこんところが解ってこないとアメフトの面白さは決して体感できないのである。

だから、「4回の攻撃で10ヤード」云々の説明を聞いて面白そうだと思ってくれる視聴者は、まあ皆無だとは言わないまでも、恐らく無視してかまわない程度に少数なのである。それに興味を持って放送を見続けてくれる期待値はほとんどゼロなのである。

そういう人はまず初めから見ないし、たまたま見ても面白いと思わないし、説明を聞いても興味が持てないし、早晩消すかチャンネルを変える人なのである。

結局、「4回の攻撃で10ヤード進むと新たな攻撃権が与えられる」というような初歩の初歩的なルールは既に知っている人だけが見ているのであり、つまり、そういう人に対してはこの説明は無用なのである。

で、話は長くなったが、「ブログ=日記風の簡易型ホームページ」という解説も同じように意味がないような気がして仕方がないのである。

ブログを見たことがない人にはこの説明では解りっこないのである。ホームページを見たことがない人にはこの説明は全く意味をなさないだろうし、「ホームページは知っているけどそれとブログはどう違うのか?」と言う人に対する答えにもなっていない。

そもそもブログが日記風の内容である必要は全くない。形式面でも、記事を書くと自動的に日付が付記されるという点を除いて日記を連想させる要素はない。

そして、「簡易型」という表現がまた曲者で、自分ではHPやブログを作成したことがなくて(もちろんどうすれば作成できるのかという知識もなくて)ただ読むだけの人にとっては、この「簡易型」の意味は全く実感できないだろう。いや、一般のHPよりもブログのほうがむしろ多機能に見えるはずだ。

「簡易型」という表現は書く側の感想でしかないのである。

だから、この「日記風の簡易型ホームページ」という解説あるいは定義は、それを知らない人たちにとって何の足しにもならないのである。

アメフトの中継を見ながら「4回の攻撃で」云々という文句を聞いた時にも同じことを思うのだが、新聞で「ブログ(日記風の簡易型ホームページ)」という表記に出くわした時に僕は必ず思うのである。

いつまでこれを言うのだろう?
もう新たな段階に入ったらどうだろうか?

つまりは、いまだに10ヤード進めていないということなんだろうか?

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