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Saturday, September 15, 2007

映画『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』

【9月15日特記】 映画『SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ』を観てきた。

こういうハチャメチャな設定の映画は大好きだ。如何にもリアリズムという看板を掲げながらどこかで破綻してしまっている映画と比べると小気味良い。

で、いつからこういう映画が好きになったかと言えば、それは多分1971年の『レッド・サン』からかなと思う。チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロン、三船敏郎という、アメリカ人、フランス人、日本人が出演した西部劇で、三船は当然のことながらチョンマゲ+キモノで武器は日本刀だった。

今回の『ジャンゴ』はもっと凄い。こんな楽しい設定なら映画の出来が少しぐらい悪くたって構やしないと思うくらいだが、はっきり言って映画の出来も頗る良い。

かつてイタリアがアメリカの西部劇と日本のクロサワをパクってマカロニ・ウェスタンを作った。今度は日本人の三池崇史がそれをパロってスキヤキ・ウェスタンを撮った。もう設定も糞もないと言って良いほどのごちゃ混ぜだが、そこには日本人が撮るだけの必然性がはっきりと感じられるのである。実際に映画を見てみればそれが解ると思う。

出だし、如何にも西洋から見た日本という感じの黄金色の風車を思いっきり仰ぎ見る画。そして鶏と蛇を追う地を這うカメラ。クエンティン・タランティーノを真上から狙って、カメラが引くとそこは葛飾北斎の絵の中で、香取慎吾との撃ち合いの後、文字通りのすき焼き。──もう笑いがこみあげてくる。

源平の合戦とゴールド・ラッシュとさすらいのガンマンである。平家物語の無常の世界観とシェイクスピアのヘンリー6世まで織り込まれて、チャンバラ活劇の爽快感+マカロニ・ウェスタンの残酷といい加減さ。

そして映像的には全編を通じて繰り広げられる、東映任侠映画の流れを汲む徹底した様式美。──例えば、着物の背中がぱっくりと裂けて露わになる弁天様の彫り物、みたいな世界なのだが、これがしびれるほど決まっていて美しい。これこそが日本人監督・三池崇史の中に流れる血なのだろう。仮にこの映画をタランティーノが監督したならもっともっと悪趣味なものになったに違いない。

ストーリーの面では、予想もしないところから意表を突いて別の重要なキャラが出てくる(ここがストーリーのキモなので詳しく書けない)あたり、見ている者を飽きさせない。

桃井かおり、伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、松重豊、塩見三省──オールスター・キャストはそれぞれに個性爆発で、中でも特に香川照之の保安官が強烈。『ロード・オブ・ザ・リング』のスメアゴル(ゴラム)みたいな統合失調症、と言うか2重人格キャラで、源平どちらに着くかという悩みを見事にデフォルメしている。塩見三省だけがなんかペルー人みたいなところも笑える。言い出せばきりがない。

ただひとり、木村佳乃だけはどうしても、こんな役を演じるにはあまりに色気が感じられないと思うのは僕だけだろうか?

でも、マイナス面を感じたのはそれくらい。

決して無国籍ではなく見事に「多国籍を配合」した美術の素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。これは日本建築の出てくる西部劇であり、ピストルで撃ち合う源平の合戦なのである。

全編英語の台詞のくせにエンディングの歌が北島三郎というのがまた最高!

遊び心満載で、もちろん相当なキワモノではあるが、極めて上等・上質なキワモノ映画である。パンフにもあるように、「フェイクな大風呂敷の中で、細かい描写を本物にこだわった」ことがまさに功を奏していると言える。

鑑賞後の興奮を隠せない、久々に刺激的な娯楽大作だった。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

ラムの大通り
長江将史~てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ

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