ドラマW『イヴの贈り物』
【8月12日特記】 WOWOW のドラマW、今月は毎週日曜日に最新作3週連続放送である。先週の日曜日に放送した1発目の『イヴの贈り物』を録画しておいて、先ほど観た。
舘ひろしのメロ・ドラマで、しかも、その監督が佐藤純彌だと言うのでどうしようかなとは思ったのだが一応録画しておいたのだ(ちなみに脚本は佐伯俊道)。
佐藤純彌って1960年代前半から監督している人なんですよね。んで、僕は70年代に2本の角川映画『人間の証明』と『野性の証明』を、80年代に『植村直己物語』を見て以来21年ぶりである。『北京原人』なんて映画を撮ってどうしちゃったのかな?と思っていたら、一昨年『男たちの大和/YAMATO』で息を吹き返した(もっとも、僕の趣味ではないので当然見ていない)。
で、メロ・ドラマだと思って見始めたら、いきなり舘がピストル買いに行って密売人に殴られるシーン。あれ?なんか、ただのメロ・ドラマじゃないみたい。このチープさは逆に良いかも。
でも、とりあえず、そのシーンは何だかわからないまま、別のシーンに。
しかし、なんだか知らんが、各シーンとも、画面ザラザラに処理してみたり、逆光の露出過多にしてみたり、全体に赤っぽくしてみたり、力入り過ぎじゃないの?
エリート商社マンの舘ひろしが行きつけの喫茶店で貫地谷しほりと出会う。ひとり娘を亡くしてから妻・手塚理美との間も冷え切り、ますます仕事一辺倒になっている舘の気持ちをほぐしてくれる貫地谷。娘が生きていれば同い年のはずだ。
しかし、この男、あまりにも無防備というかおめでたいと言うか、貫地谷を女として見てはいない。女として見ていないのに一緒に河津温泉に旅行したりする。「抱いてください。初めてなんです」と迫られる。でも、最初からそんなつもりもないので・・・。
見ていて、おいおい!っちゅう感じ。
ほんで、この貫地谷の境遇が、母ひとり娘ひとり、で、処女、父の残した借金、取り立てに来るヤクザ、生命保険、ソープに売られる、等々、組み立て方が古いなあ。それに、交通事故、死に至る病、行きつけのバーのマスター石倉三郎の秘められた過去まで絡んできて、バックではジャズが鳴ってて、もうびっくりするくらい古色蒼然たるドラマ。
WOWOW さん、こんなことやってちゃいかんでしょ?
(佐藤さんがやるのは勝手ですが)
で、また徹底的に救いがない話なんだな、これが。最後のほうのシーンで、石倉のバーでひとり踊る手塚理美がまた怖いんだな。
この映画は宣伝文句である「50代後半の男がひとりの女性に抱く淡い思い」というのとは全然違うね。ラストは舘に言わせると「未成熟だった戸辺(舘)が自主的に動く結末」ということになるが、なんだかなあ。
それなりの感慨はあるよ、でもなあ・・・、という映画。ひょっとして、この割り切れなさが狙いなのか? そうであるなら制作者の術中にすっぽり嵌ってしまったことになる。
さて、今夜は第2作。横山秀夫(これもあんまり好きな作家じゃないんだな)原作の『震度0』。録ろうかどうしようか?
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