ドラマW『震度O』
【8月13日特記】 昨日は「録ろうかどうしようか」と書いたが、結局生で観てしまった──ドラマW『震度O』。
原作は横山秀夫。『半落ち』を読んで、あの本はそれなりに面白かったのも確かではあるが、それっきり2度と読む気にならない作家である。監督は水谷俊之。
阪神淡路大震災当日、某県警刑務課長の不破(西村雅彦)が突然消えた。一方で震災への対応、他方で昨夜取り逃がした逃亡中の強盗殺人犯の再捜索という慌しい中、県警最高幹部6人(渡辺いっけい、上川隆也、矢島健一、國村隼、升毅、斉藤暁)は極秘のうちに西村を探し出そうとする。
そこにはキャリア組・準キャリア・ノンキャリア間の露骨な反目と、それぞれの刑事が抱えた負い目、そして妻たちをも巻き込んだ激しく醜い出世争いがあった。──とまあ、直接的には警察官僚物語である。
おいおい、日本の警察って、ひょっとして組織の中ではいつもこんなことやってんのか? それなら解決する事件も解決せんわな、とちょっと呆れてしまう。
で、そんな警官たちの赤裸々な権力闘争を描きつつ、その過程で失踪した刑事の謎を解き明かそうとするあたりにちょっと無理がある。
あまりに強引じゃないですかね、横山さん。それに出てくる警察幹部の人物設定があまりに類型的でリアリティに乏しく、かと言って「戯画化」と言えるほどの成果もない。
いや、面白いんですよ。見てる間はかなり面白い。でも、見終わって、はぁ~と溜息が出てしまう。
結局、二兎を追うものは一兎をも得ず、ではないかな。
警察官僚のドロドロを描きたいのなら、事件をもっとプレーンにしてそこに専念したほうが良かったと思う。西村雅彦の「失踪」を巡る部分に不整合な点が多すぎる。
いや、何度も書くけど、面白いのは面白いんですよ。でも、なあ・・・。
はっきり言って、このところ WOWOW ドラマWの力量は落ちたと思う。過去『春、バーニーズで』、『対岸の彼女』、『4 TEEN』など、いずれも飛びっきり良くできていて、飛びっきり面白かった。
今月の特集では、それら過去作も一挙放送するみたいなので是非見てほしい。
Comments