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Saturday, July 28, 2007

映画『魔笛』

【7月28日特記】 映画『魔笛』を観てきた。

初めに断っておくと、僕はモーツァルトにもオペラにもクラシックにも詳しくない。オペラ映画についてもケネス・ブラナー監督についてもよく知らない。

にも拘わらず、なのか、だから、なのか判らないが、とにかくめっちゃくちゃ面白かった。堪能した。

隣で見ていたモーツァルト好きの妻も同じように興奮して満足していたところを見ると、多分この映画の場合は「にも拘らず」も「だから」もへったくれもないのではないだろうか。

何度も書いているように僕は映画というのは第一義的に映像作品であると思っている。それは音楽映画の場合も同じだ。だから、いくら音楽が素晴らしくても脚本が見事でもストーリーが度肝を抜いても、映像的な面白さがなければ意味がないと思っている。

そういう意味でこの音楽映画は秀逸な映像作品であったと言える。カメラはそれこそ縦横無尽。もう、冒頭の塹壕の俯瞰・長廻しから面白くて仕方がない(しかし、それにしても、時代を第一次大戦に変えたのはともかくとして、塹壕という場面を設定したのは秀逸な思いつきだったと思う)。

歌う口元のアップとか、歌いながら飛んで行くとか、戦車に乗って進むとかもう伝統的オペラの発想ではありえない画の連続。面白いのなんのって。

音楽に乗っているということもあるが、のっけから完全ノンストップで、文字通り息つく暇もない面白さである。そして、これは映画にしか決してできない芸当なのである。

どんな芸当かと言うと、あまりに当たり前のことを言うので呆れるかもしれないが、編集である。編集すれば全ての画が音がシームレス/ノンストップに繋がるのである。

これはどんなオペラにも演劇にも絶対になしえないテクニックなのである。今回はそこにさらにCGの技術が重なって、目も眩むような仕掛けになっている。

ただ、一般的には、と言うか、クラシックの陣営からは、こういうのはどう評価されるんだろう?

言ってみれば所詮"翻案もの"である。時代は第一次世界大戦だし、言語は英語だし・・・。

僕はなんか、昔アングラ劇団(なんて、言うことが古いね、僕も)が『真夏の夜の夢』とか『から騒ぎ』などのシェイクスピア演劇をちょっとだけ現代風にアレンジしてやっていたのを思い出した。あれと同じようなもんではないのかな。だから、それはそれで良いんじゃないか、ってね。

んで、そんなこと思いながらパンフ読んでたら、ケネス・ブラナーってシェイクスピア映画で有名な人なんだってね。やっぱり同じような感覚でやったんじゃないかな、今回のオペラも。

僕は実はアングラ劇団のシェイクスピアは当時「よく解らんなあ」と思いながら見ていたのだが、今回この映画を見て、なんか突然シェイクスピアまで解ったような気がしてきた。

当たり前と言えば当たり前なんだけど、シェイクスピアもモーツァルトも大したもんだ。やっぱ深いよね。ほんで、ある種、根っからのエンタテインメントなんだと思う。

出演者もみんな素晴らしくて本当に堪能した。もっともクラシック音楽の素養という面では、僕には世界一の歌手なのか単なるプロなのかを聴き分ける耳がないのだが、それでも素晴らしいという実感が得られればそれで充分だと思う。

初めのほうでちょっと寝てしまったけど、そういう見方でも全然構わないと思う。これは気楽なエンタテインメントなのだ。そして、同時に一瞬たりとも目の離せない驚異の見せものでもある(ならば、なんで寝るか?)

あー、楽しかった。もう一度見たいくらいである。

★この記事は下記のブログからトラックバックさせていただきました。

犬儒学派的牧歌

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