映画『吉祥天女』
【7月6日特記】 映画『吉祥天女』を観てきた。
普段あまり見つけないジャンルの映画なのに何故観たかと言えば、それはキャストに魅かれたから。
まず、鈴木杏。
僕が彼女の名前を憶えたのは2000年の『ヒマラヤ杉に降る雪』というアメリカ映画だった。工藤夕貴が演じた日系人女性の子供時代の役で、このとき彼女はまだ漸くティーンズの仲間入りをしたかどうかという年齢(つまり13歳前後)で、確かあまり台詞もない役だったのだが何故か強烈な印象が残った。
でも、この子、きっと消えちゃうんだろうなあ、と思っていたら、ちょろちょろいろんなところに出てるみたい。で、蒼井優と共演した『花とアリス』の花役が僕との再会となった。その後が『空中庭園』の長女役。そして最近では『監督・ばんざい!』での岸本加世子の娘役。
いずれも非常に印象が強い。眼に魅力があるんだよね、この子は。かなりの近眼らしいけどね。
それから本仮屋ユイカ。
なんと言っても『スウィングガールズ』のちょっとトロいトロンボーン奏者。そしてTV版『世界の中心で、愛をさけぶ』でのクラスメイト役も良かった。
この子の巧さは大変なもんです。初っ端のシーンでは同級生と2人で転校生の鈴木杏に絡むんだけれど、自分が台詞を言っていない時もちゃんと受けの表情ができている。僕はよく台詞を言っていない時の役者に注目しているのだけれど、もう一人の同級生役の子はそれができていなかったので、本仮屋ユイカの演技が際立って見えた。
非常に自然。そして、自分を可愛く見せる術を知っている(これも女優としては大切なことだ)。
そして勝地涼。
僕は彼が出た映画も結構観てはいるが、最初に意識したのは『幸福な食卓』で、その前の『空中庭園』での鈴木杏の彼役や、もうひとつ前の『この胸いっぱいの愛を』で自分を捨てた母親を恨む少年役では名前を憶えるには至らなかった。この3つの役に『東京タワー』でのあのモヒカン刈りの男を並べると、この役者が如何に多彩であるかが解るはずだ。
映画が始まるといきなりオレンジ色の夕日。次がブルーの夕暮れ。色だけかと思ったらなんのなんの。この監督、光と構図にひとかたならぬ拘りがある(あって当然なんだけど)。大変失礼な言い方だが「映像に一家言ある」監督である(あって当然なんだけど)。
ともかく採光とカメラ・アングルにかなりの工夫を凝らして、次から次へとあざといほどに凝ったシーンを畳みかけてくる。この「造り込み」ぶりは見ていて思わず「いいぞいいぞ、よし、頑張れ」と言いたくなる、口元が緩んで来るような感じがする。面白くてストーリーに熱中できないくらいだ。
サスペンスである以前に目に入ってくる構図の面白さがあり、ストーリー以前に映像的な面白さがある。これでこそ映画である。
ほんで原作は全く知らずに観たのだが、こりゃ展開としても結構おもしれーっ!
あんな格闘シーンがあるとは思わなかった(しかもこれがワンカットだ)し。
吉田秋生ファンのために書いておくと原作とは設定等かなり変わっているらしいけど・・・。
で、上で挙げた3人の役者のみならず、多くの共演者が非常に良い味出してるんですよ。まず、鈴木杏の義姉役の国分佐智子。勝地涼の従兄役の深水元基。本仮屋ユイカの姉役の市川実日子。鈴木杏の父役の小倉一郎。そしてその家の書生役の津田寛治。
筋は詳しく書かないけど、家にまつわる伝説とか因縁とか、政略結婚とか殺人とか、かなりどろどろの話なのだが、そこに持って来て、及川中監督のものすごく"ねっとりとした"演出には結構はまってしまった。
もちろん嫌悪感を感じる観客も間違いなくいるとは思うのだが・・・。僕としてはこれはちょっとした拾い物の映画だった。またたまにはこの手の映画も見てみようと思う。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。


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