映画『あるスキャンダルの覚え書き』
【6月16日特記】 映画『あるスキャンダルの覚え書き』を観てきた。
ひえ~\(◎o◎)/! コエーよー。んでもって、フィリップ・グラスの音楽がその怖さを増長する。ミニマル・ミュージックというのはある種不安感を募るのに持って来いの音楽ですからね。
セントジョージ中学で歴史を教えるベテラン教師・バーバラ(ジュディ・デンチ)。そこへ赴任してきた新任の美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)。生涯孤独なバーバラがシーバを"取り込む"話──ものすごく怖い。
取り込むきっかけは生徒同士のけんか。それを収拾できないシーバに代わってバーバラが割って入って見事に収める。そこから親しくなり、家にも招かれる。
予想に反して、シーバの夫は自分と同年輩の再婚男。生意気盛りの娘とダウン症の息子がいる。
そして、やがて、シーバが男子生徒スティーヴン(アンドリュー・シンプソン)と関係を持ってしまったことを突き止めたバーバラは・・・。ここから先はもう書かない。ともかく恐ろしい。
劣等感や弱さ、絶望感、ないものねだりなど誰にでもあるものだ。それがシーバの場合は割と解りやすい形で発現して解りやすい問題となって表れるのであるが、バーバラのほうはそれまでの抑圧が強すぎたのか非常にねじ曲がった形で表れるところが怖い。
こんなことを書くと同じ立場の方には申し訳ないのだが、見終わってつくづく高齢独身の女性には気をつけなければと思った(夫婦で見に行って、見た後どちらからともなく同じことを言った)。
なんと言っても、日本語の字幕では「オールド・ミス」だけど、英語では old virgin だもんね。こっちのほうがずっと怖い表現だよね。
んで、異常な人物を描きながら人間の本質を結構突いていて、『危険な情事』や『ミザリー』なんかとも相通ずる話なんだけど、こっちのほうがずっと真実味があって、いつ同じようなことが起こっても不思議ではない。
アメリカ映画なのだけれど原作はイギリスの小説で、スタッフもイギリス人が多いためか、非常に階級的な物語である。カール・マルクスの分析以来、いまだにこういう社会が続いているのかとちょっとびっくりした。
オスカーを争った『バベル』よりは、こっちのほうが良い映画だと思ったなあ、僕は。
しかし、それにしてもこの邦題、イケてないよね。訳さないでカタカナのままというのもひどいもんだけど、こんなセンスのない訳するくらいなら原文のままのほうがマシかも。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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