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Wednesday, May 23, 2007

私の中の差別意識2

【5月23日追記】 昨日の映画『パッチギ! LOVE & PEACE』に関する記事で「とても微妙な問題に絡みながら、台本がスパッと一直線に切り過ぎている感じがある」と書いたのは例えばこんなところだ。

映画には在日を受け入れる日本人とそうでない日本人が出てくる。

例えば国土館大学の学生たち(これは国士舘のもじりだと丸わかりなので、抗議が来たりしないのかなあと少し心配になった)。彼らは無条件に韓国・朝鮮人を排斥する。それから、ラサール石井が演じた映画界の大物プロデューサ。彼は自分は何人でも構わないと言いながら、「面倒臭いのは嫌いなんだよね」と最初はキョンジャを起用しようとしない。監督はこのプロデューサに、かつて石原慎太郎が使って物議をかもした「三国人」という言葉をあえて口走らせている。

それに対して、藤井隆が演じた佐藤。彼は何の抵抗もなく在日の社会に溶け込む。身寄りが全くなく、国鉄職員も馘になったばかり、ということで、こちらはある程度説明がつくのだが、このあたりにやや善悪2元論的な単純さがある。小さい頃から友だちだったというケースを除けば、あの時代に果たしてこんなことってあったんだろうか?

問題なのは、キョンジャから「私、在日なんです」と打ち明けられたスター野村(西島秀俊)のケース。1974年という時代を考えれば、あの告白にはもっと「引く」だろう!?

あるいは内心穏やかでないのをカモフラージュして余裕かましてみたのかもしれないし、在日が多い芸能界では驚くほどのことではなかったのかもしれないが、このシーンを見ていると僕は自分自身の経験を思い出すのである。

あの頃僕は高校生だった。親友だったM君(今は故人)に「お前、もし好きになった女が韓国人やったらどうする?」と訊かれた。僕は若者らしい潔癖さで「好きになったのであれば、そんなことは気にしない」と答えた。M君だって多分そうだろう、と思いながら。

ところがM君は言った。「俺は嫌やなあ。考えてみろや、本人は良くても家族がついてくるんやぞ」

そう言われて僕は、好きになった彼女の背後にチョゴリを着た大勢の人間が座っているところを想像してしまい、途端にこわばってしまった。そして、M君の発言を否定できない自分が情けなくなった。

こういう理屈は、僕らが無意識に低く見ている外国に対していまだに頻繁に適用されている。タイでもフィリピンでもそうだ。「そんな国の女と結婚すると、本人は良くても、その後ろに100人の家族がついて来て、彼らを養ってやらなければならないんだぞ」等々。

しかし、この僕のケースでは、それは韓国・朝鮮人に対する軽蔑でも敵意でもなかった。それは純粋な恐怖感だった。こういう恐怖感に煽られた差別意識は当時家族の中で親から子供へと確実に伝授されていた。

映画の中の野村も結局後から「結婚なんてできるわけがない。僕の親だって黙っちゃいない」と開き直ってはいるが、それでもキョンジャと肉体関係を結んだ後だ。あの時代なら、そこにたどり着く前にもっと「引いた」んじゃないだろうか?

特に、自分の親であれ相手の親であれ、親というものを思い浮かべてしまうとそこから先へは行けなかったのではないかな。そして、あの時代僕らは割合頻繁に親の顔を思い浮かべたりしたものだ。そういう時代だった。

それから、この映画はなかなか時代考証がしっかりしていたみたいだが、1つだけ個人的に気になったのは「在日」という表現。当時この言葉は使われていたんだろうか?

少なくとも僕は70年代の半ばにはこの表現を聞いた覚えがない。僕が知ったのは80年代に入ってからだ。70年代には僕らは彼らのことを「朝鮮人」としか呼んでいなかったと思う。

あるいは在日の人たちは当時から自分たちのことを在日と呼んでおり、それが後に広がったのか?
それとも単に僕が知らなかっただけで、一般的にはよく使われる言葉だったのか。

以上が映画『パッチギ! LOVE & PEACE』を観ていて僕が引っかかってしまった点である。なお、この記事のタイトルが「2」となっているのは以前HPのほうに発表した文章を踏まえてのことである。

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