『うさぎおいしーフランス人』村上春樹(書評)
【5月19日特記】 いやー、なんでしょうねえ、これは。まさに、なんじゃあこりゃと呼ぶにふさわしい作品です。『またたび浴びたタマ』の時にも感じたのですが、この人、こっちの方面にはあんまり才能ないんですよね。でも、こんな本書いて出しちゃう。
ちょうど村上龍が何度も映画を監督してしまうのと似てますよね。お願いしますよ、村上さん。
こういうのを書くのは勝手ですが本来出版には適さないもので、村上春樹の死後、遠い親戚の誰かが遺稿を発見して「これは歴史的価値が高い資料だからすぐさま公開すべきなのか、それとも本人および一族にとっての恥だから密かに葬ってしまうべきなのか」と悩むにふさわしい存在ではないかな、などと読んでるこっちも変な想像が膨らんでしまいました。
表題の「うさぎおいしー」などという読み違えはそれこそ百万遍語られたギャグであり、そこにフランス料理を結びつけただけじゃあ、ちょっと笑えませんよね。あと、下ネタがやたらと多いのも気になる。いや、下ネタ多くても良いんですが、あまり笑えない下ネタが多いんですよね。
でも、まあ音楽ネタと文学ネタを中心に発想としては非常に面白い作品もちょろちょろ混じってはいます。後半部分のほうが出来が良いですね。「大船に乗ったつもりが、平塚で降ろされる」とか「肉球をじっと見る石川猫木」とか一目で笑えるものもあります。うん、猫のネタも多いなあ。
思うに、表題はそこそこなのに、その後に続く解説がいけません。こじつけっぽかったり単純すぎたりだらだらしてたりで面白くないんです。
こんなもん出版しちゃあダメですよ。でも、もう出ちゃったから仕方がない。ならば、こんな本読んじゃダメですよ、真性ハルキ・マニアの方以外は。
あっ、安西水丸マニアの方には超オススメかも。
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