『Web制作現場の憂鬱』門出明(書評)
【3月3日特記】 この本は笑えるか笑えないかが言わば踏み絵ですね。もちろん笑えない奴は怒り出すかと言えばそんなはずはなく(ただ1人、この本の中で延々と槍玉に挙げられている「山崎君」だけは例外でしょうが)、笑えない人は解らない人でしょうからただ首を傾げるばかり。
いや、僕は無事に笑えました。もっとも全て解った訳ではなくて、サーバ・サイドの技術については概念は知っているものの、もひとつイメージは湧きません。でも、笑えて良かった。ほっとしました。
この本はWebに対する生半可な知識しかないのにWeb制作の現場で出しゃばってくる難儀な人々を描いたドキュメンタリです。いや、生半可な知識でもあればマシなほうで、ほとんど知識皆無のくせにプロジェクトで中心的な地位についてしまうバカヤローが、この業界にはいるのだそうです。
この本はそんな難儀な人々を決して淡々と描いたりはしません。なぜなら、彼のような存在によって著者のような実務者が死ぬほど苦労をするからです。著者は怒っています。文章にそれが出ています。行間に怒りが溢れ出しています。
そして、だからこそ読者は笑えるのです。また僕のような、実務者としてではなくWeb制作に関わっている人間は、多少冷や汗かきながら読むのです。でも、さすがに冷や汗かくよりも吹き出すほうがはるかに多かったのでほっとしました。
少しずつでも良いから自分なりに新しい技術をたゆまず吸収すること、そして、この著者が言うようにサーバント・リーダー型の仕事に徹することの2点を、強く心に念じた次第であります。
この本は多分バリバリのWeb制作実務者が読む本ではないと思います。なぜなら同じような体験を思い出して腹が立ちすぎるから(笑)
広い意味で「文系」のWeb関係者が心して読むべき本なのではないでしょうか。
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