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Tuesday, March 06, 2007

映画『どろろ』

【3月6日特記】 映画『どろろ』を観てきた。

監督デビュー作の『月光の囁き』で異彩を放ち、同日公開された『どこまでもいこう』がいきなり1999年のキネ旬ベストテン第9位に選ばれたのを皮切りに、その後『ギプス』、『害虫』、『カナリア』と、かなりヤバい題材で鮮烈な世界観を描き続けてきた塩田明彦監督。

『カナリア』の前作『黄泉がえり』では「こんなメジャーな作品も撮れるんだ」と良い意味で驚かせてくれたのだが、2005年の『この胸いっぱいの愛を』はどうしようもなくゆるゆるのメロドラマで、「突然どうしちゃったの?」と愕然とした記憶がある。

さて、最新作『どろろ』で塩田監督はどっちの方向に向かっているのか?
すでに興行収入30億円を突破している大ヒット映画だが、そんなことはどうでも良い。問題は僕が今後も見続ける監督なのか、それとも金輪際見に行かない監督なのかということである。

それを見極めるのをとても楽しみにしながら映画館に向かった。

観てまず安心したのは、塩田監督が楽しんで遊びながら撮っているのが伝わってきたこと。窮屈に作っている感じはまるでなくて、CG/VFXも特殊メイクも、殺陣もワイヤー・アクションも非常に伸び伸びとした楽しい出来である。

あまり自然な動きになっていないのもわざとかなあなどと思ったりした(実はアクション監督が有名な中国人だったというせいもあるのだろうが)。

ただし、観ていて驚きがないんだよねえ、造形にもアクションにもストーリーにも。

百鬼丸(妻夫木聡)がどうして眼も鼻も口も手足もない状態で生まれてきたのかを最初に明かしてしまってるでしょ。あの理由を伏せたまま、不気味な赤ん坊の百鬼丸が桶に乗せられて川を流れてくるところから始めたらどうだったろう? そのほうが観客はのめり込むと思うのだが・・・。

化け物退治しにしても、どろろ(柴咲コウ)と旅するようになってからは、前後の脈略を省いて決闘シーンの総集編でお送りしますみたいな形になってたでしょ。あれじゃ盛り上がらないんですよね。まるで昔の『ウルトラファイト』(ウルトラマンシリーズの格闘シーンだけを抜き出した番組)みたい。観ていて「これなら延々斬って斬って斬りまくる『あずみ』のほうが面白いかな」なんて思ってしまいました。

でも、その停滞は醍醐景光(中井貴一)と百鬼丸の父子対決までの辛抱で、そこからは脚本もよく練り込んであるし、シーンとしても驚きがある。エンタテインメントをしっかりとしたドラマで絞め括ってくる辺りはやっぱり塩田明彦の力量だと思う。

中だるみを辛抱して最後まで観た意味はあったと思った。

名優・中村嘉葎雄は当然として、瑛太と土屋アンナという、他の映画では堂々主演を張っている2人の若い俳優が演じた脇役にも存在感があったし、柴咲コウを彼女にぴったりのワンパタン・キャラに充てたのも正解。抑えめの演技の妻夫木とのコントラストがついた。

ま、こういう捉え方をする人は少ないかもしれないが、塩田監督にとっては随分金をかけた息抜きになったのではないかな?

続編含みの終わり方だったが、できれば塩田監督自身は続編を引き受けずに他人に回し、自らは全く毛色の違う作品に軽やかに転身してほしいなあなどと考えたのであった。

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