映画『松ヶ根乱射事件』
【3月11日特記】 映画『松ヶ根乱射事件』を観てきた。山下敦弘監督作品。
予想した通りの「なんじゃ、そりゃあ?」の映画だった。
パンフから引用すると、
どこにでもいるような、でも、ちょっとおかしな松ヶ根町の住人の日常と非日常をユーモアたっぷりに描いていく。そこからひょっこり顔を出す人間の本当の面白みと残酷さ。繊細な人間観察の上に成り立った巧みな演出は(後略)
ということになるが、そう書かれるとちょっとニュアンスが違う。きれいにまとめ過ぎ。もっと「なんじゃ、そりゃあ?」感の強い作品である。上映中に笑い声なんかほとんど聞こえなかったぞ。
まあ、ろくでもない奴ばかり出てくる。主人公・光太郎(新井浩文)の双子の兄・光(山中崇)は雪道で女(川越美和)に当て逃げする。その女の死体が冒頭のシーンだ。真上からのカメラ。そこに小学生の男の子が来て死体を発見する。このガキがまたろくなことしない。
すると今度はカメラが地べたの高さから寝っ転がった死体を仰ぎ見る。
警察官の光太郎が電話で呼び出されて、その次のシーンは検屍。台の上で川越美和がまっぱ。まっ先に黒々とした陰毛が目に飛び込んで来る。おいおい、検屍って、素っ裸にするのか?
ところがその女が生き返って、その女にくっついてる怖いお兄さん(木村祐一)が出てきて、偶然にも光と出会ってひき逃げ犯だと見破られたために、光は恐喝されてずっと2人の言うなりになってしまう。
一方、光と光太郎の父親(三浦友和)は外に女を作って帰ってこない。その女の娘は誰とでも寝る。それを良いことに母親は売春の斡旋をする。その娘をなんと光太郎の父が妊娠させてしまった。
──こう書くとなんだか思いっきり暗くて重苦しい映画に思うかもしれないが、決してそういう感じではない。なんとも言えずオフビートで、そこはかとなくおかしくて、そして割り切れない。やっぱり「なんじゃ、そりゃあ?」の映画なのであり、笑えないコメディなのである。
この映画は読解力を要求する。そして、映画を見終わった後、考えるための長い時間を求めてくる。結構深いぞ。
光と光太郎が部屋で足のサイズ教え合って、その後蹴り合いになるシーンなんか、凡人にはまず書けないだろう。そういう台詞やシーンがテンコ盛りだ。
新井浩文、山中崇、木村祐一もさることながら、三浦友和がひときわ光っていた。この俳優を僕が好きだと言うことは随分前にも書いた。特に『台風クラブ』が脳裏に焼きついて離れないのだが、今回山下監督も同じだと知ってなんだか嬉しかった。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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