キネマ旬報2月下旬号
【2月11日特記】 「キネマ旬報」2月下旬号が発売になりました。さて、今年も去年と同じ形式で総点検してみましょう。比較の対象となるのは、今回も僕自身の2つの記事(12月23日付けと1月10日付け)です。
まず、何を措いても気になったのは、僕はあまり評価していないけれどキネ旬では1位に選ばれてしまった『フラガール』がどれくらいの点数を集めたのか。
ご存じの方には余計な説明ですが、キネ旬の採点は各審査員が1位には10点、2位には9点・・・、10位には1点という形で投票します。今回の邦画の審査員は60名でした。
で、1位の『フラガール』は264点。2位の『ゆれる』が243点なので、その差は21点!
予想外の大差に驚いてしまいました。
不思議で仕方がなかったので採点表を仔細に調べてみたところ、『フラガール』に1点以上をつけた審査員が40名もいます。これは断トツです。結局多くの人に受けたというのが受賞理由なんですね。
面白いので1位から10位までの点数を「1点以上つけた審査員の数」×「1点以上つけた審査員の平均点」という形に分解してみました。こんな感じです。
- 『フラガール』
264点=40名×6.60 - 『ゆれる』
243点=35名×6.94 - 『雪に願うこと』
213点=31名×6.87 - 『紙屋悦子の青春』
209点=30名×6.97 - 『武士の一分』
195点=30名×6.50 - 『嫌われ松子の一生』
179点=27名×6.63 - 『博士の愛した数式』
161点=26名×6.19 - 『明日の記憶』
112点=21名×5.33 - 『かもめ食堂』
106点=22名×4.82 - 『カミュなんて知らない』
101点=16名×6.31
ちょっと目を個人賞に移してみますと、監督賞は『雪に願うこと』の根岸吉太郎で11票、次点が『ゆれる』の西川美和で7票、3位が『嫌われ松子の一生』の中島哲也で6票。『フラガール』の李相日には1票しか入っていません。
脚本賞はと言えば、『ゆれる』の西川美和が16票でぶっちぎり受賞。次点が『フラガール』の李相日・羽原大介で6票です。
この辺りの結果は、僕としては非常に納得の行くものでした。
さて、それでは僕が「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい10本」とした作品のうちベストテンから漏れたものから見て行きましょう。
「公開が早かったので不利だろうけれど、これが20位以内に入らないとウソだ」と書いた『三年身籠る』は、随分探してしまいましたぜ、なんと第55位。4人の審査員しか点をつけていない。しかも2点か3点。どうしちゃったんですかねえ。信じられない結果です。
『好きだ、』も第70位。まあ、予想し得たこととは言え、あまりの低さに唖然。1人の審査員が6点をつけただけだとは・・・。
逆に、僕がかなり推していた『ストロベリーショートケイクス』は第11位、控えめに推してみた『やわらかい生活』が第12位、熱狂的に支持しながら「ひょっとしたら20位以内にも入っていないかも」と書いた『間宮兄弟』は第14位と、そこそこの評価です。
あと、もう1本控えめに推してみた『夜のピクニック』が第59位──これは想定の範囲内ですね。
結局のところ、「『キネマ旬報ベストテン』の20位以内に入ってほしい10本」のうち7本が入りました。まあ上々でしょう。
次に今回の邦画の審査で点のついた100位までの106作品のうち、僕が観た作品の順位を順番に追って行くことにしましょう。
第17位『THE 有頂天ホテル』:なんでこんな高い順位にいるの? あのカメラワークは支持できないです。
第20位『寝ずの番』:これもあまりと言えばあまりの評価の高さに言葉を失ってしまいました。
第22位『花よりもなほ』、第29位『エリ・エリ レマ・サバクタニ』:まあ、こんなもんっしょう。
ずっと飛んで第41位『パプリカ』:意外に高いですね。もっと無視される映画かと思った。
第55位『日本沈没』、第59位『県庁の星』&『涙そうそう』、第67位『UDON』&『DEATH NOTE』:これまたいずれもこんなとこか。
第83位『ルート225』、第93位『恋する日曜日』:こういうのちゃんと選ばれるんですね。さすがキネ旬、って感じ。
第93位『ハチミツとクローバー』:おおっ、低いねえ。もうちょっと上でも良いのでは?
それ以外では、最下位くらいにチラッと登場するかなと思った『放郷物語』が入ってないのがちょっと残念。
観ていない作品では『虹の女神』が第26位、『キャッチボール屋』が第36位、『水の花』が第59位──やっぱり良かったんですね。『水の花』は一体いつになったら関西で上映されるのでしょう?
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