映画『バブルへGO!!』
【2月10日特記】 映画『バブルへGO!!』を観てきた。
1993年か94年に漫画『気まぐれコンセプト』に掲載されたエピソードがあって(多分それがこの映画の原作となったと言っても良いのではないかな)、当時それを読んで大笑いした記憶がある。
タイムマシンに乗ってバブル真っ最中の時代に行ったら、地下鉄で移動したというだけで同僚から「こいつ頭がおかしいんじゃないの?」と不審がられ、おまけに財布の中を調べられて、「こいつタクシー・チケット持ってないぞ」と言われてボコボコにされる話である。
「僕は未来から来たんだ」と言うと、「それじゃ、お前の時代の首相は誰だ?」と問い詰められて「日本新党の細川護煕だ」と答えたら、「嘘つくな、細川なんて聞いたことない」「なんだ、その新興宗教みたいな政党は」と、やっぱりボコボコにされるシーンもあった。
今回この映画を観るに当たって僕が期待したのはそういうギャグである。多分そういうネタが満載の映画なのだろうと期待して行ったのであるが、意外にそういう時代ギャップもののギャグは(もちろんあるにはあったが、僕の予想よりもはるかに)抑え目で、寧ろストーリーの進行に力点があった。
単なるニュアンス・コメディではなく、アクション・シーンなどもある結構な大活劇なのである。
考えてみればそれも当然で、時代ギャップの面白さばかりを繋いだ展開にすると、バブル期に中高生だった観客にはあまり楽しめない映画になってしまう。観客動員を考えるとそれは得策ではないのである。だから、タイムマシンが洗濯機型であることを始めとして、筋の上でいろんな楽しめる要素を用意してある。そういう意味であの時代を「体感」していない人でも安心して楽しめる映画である。
1987年に最初のホイ・チョイ映画である『私をスキーに連れてって』を観て、「この人たちは天才だ!」と思ったのをよく憶えているが、この映画も基本的にあの映画と全く同じテーストである。いかにもホイ・チョイ・プロらしい筋運びなのである。
しかし、それにしてもバブル崩壊の責任を伊武雅刀が演じた大蔵省の悪徳局長1人に負わせている点、それから、バブルが崩壊したからこそ現在の正常な経済活動があるという事実を看過あるいは過小評価している点などは、「社会性に欠ける無批判な作品」と非難されて然るべき映画であると思う。
が、一方で、「エンタテインメントなんだから、別にいいんじゃない」とも言える。そういう両極端のことに思いを馳せながら見ていると大変楽しい、と言うか、今となってはその両極を意識して観るべきなのではないのかな、僕らバブル実体験組は。
主演の2人──広末涼子と阿部寛は、コメディエンヌ/コメディアンとしての力量がどうこうと言う以前に、こういう役柄が非常に合っている。見事な嵌り役だった。
それから、以前にも褒めたことがあるけど、役者としての劇団ひとりって本当に素晴らしいと思う。
映画の中で劇団ひとりが1万円札ちらつかせてタクシーを停めてたけど、僕らはタクチケちらつかせて停めたなあ。万札よりタクチケのほうが絶対効果は高かったと思うんだけど・・・、などと語り始めるとバブルの思い出話は尽きない。見終わった後もそういう話題で2~3時間は持ちそうだ。
サブタイの『タイムマシンはドラム式』まで含めると五七五になる題名のダサいセンスが最高。馬場康夫ってやっぱり良いセンス持ってるなあと思う。
★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。
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