Blowin' in the wind
【11月1日特記】 最近、新聞の書評欄でもインターネット書店の書評欄でも、実用書系が増えて次第に小説の書評が減ってきているような気がする。
そのことを妻に話したら、いみじくも彼女はこう言った。
みんな答えが書いてある本を読みたいのよ
今の時代、答えを自分で探す本は受けないのよ
うーん、これは我が妻(「愚妻」などという愚かしい表現を用いる気はもとよりないが)にしてなかなか正鵠を得た表現である。
妻は職場で最近こういう相談を受けたそうである。
ある人の部下がたくさんある選択肢の中からどれを選んでよいか解らなくて困っている。
「どの選択肢を選べば良いか」が書いてある本はないかとその人(上司)から相談されたのだが、そういう本知ってる?
妻は少々呆れながら、
そういうことは上司が教えてあげれば良いんじゃないの?
それがOJTでしょ?
と答えたそうである。
ま、もうちょっと丁寧に言うなら、「どの選択肢を選べば良いか」が書いてある本を見つけてくるのは上司の仕事ではないし、もちろんそんな本もあるはずがなく、かと言って具体的に「じゃあ、この選択肢を選びなさい」と教えてあげることが上司の仕事でもない。答えを示さずに部下に考えさせ、部下が正しい答えに到達するように陰から導いてやることこそが上司の仕事である。
そうか、今はみんなそんな風に安易な答えを求めるのか。
小説の中に答えなんかない。もし、答えがあるとすれば、それは小説を読み終えた人の中で時間をかけてぼんやりと現れるものだ。そして、そのまどろっこしさと不確かさこそが小説を読む面白さなんだけどなあ・・・。
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