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Sunday, October 15, 2006

映画『涙そうそう』

【10月15日特記】 映画『涙そうそう』を観てきた。

涙を前面に押し出した映画は僕の趣味ではない。
ただ、予告編を見る限り出来は悪くなさそうなのだ。それで、先日一度は入場券売り場で気が変わって観るのをやめたのだが、今日また気を取り直して観てきた。

まさに「乙女の紅涙を絞る」、さあ泣けとばかりの映画なのだが、思ったほどあざとくはなく、抵抗なく観られた。
そして、途中まで順調に泣かずに来たのだが、やはり2度ほど(カオルが兄ィニィの家を出て行くシーンと、海辺でオバアがカオルに話しかけるところで)泣いてしまった。

洋太郎(妻夫木聡)とカオル(長澤まさみ)はそれぞれの母(小泉今日子)と父(中村達也=誰だそれはと思ったら、なんと BLANKEY JET CITY のドラマーだった)が再婚したことによって兄妹となる。カオルはすぐに洋太郎を慕うようになり、洋太郎を兄ィニィと呼ぶ。

トランペッターの父は家族を捨てて家を出てしまい、母も間もなく病死する。2人は島に住むオバア(平良とみ)の許で育つが、洋太郎は先に沖縄本島に渡り、高校を中退して働いている。そこへ沖縄北高校に合格したカオルが出てくるところから映画は始まる。

いかにもテレビ的な短めのカットを重ねたテンポの良い運びである。冒頭の十数分間で以上のような前提を説明し切っている。

そして、何とも言えず画が良いのである。

屋上にある家を出て階段を下りて道路に出る洋太郎を追う俯瞰。カオルが本島に入港して来た船の甲板に現われるシーン(船の動きとカオルの動き、そしてカメラの動きとの調和)。カオルが兄ィニィの家を出て行くときの、洋太郎の目線からの俯瞰。それを見上げるカオルをやや仰角で捉えるカメラ。そして、沖縄の海と雲と太陽・・・。

この映画のキーとなるのは洋太郎が母から教えられた涙を止める方法(何のこたぁない、鼻をつまむだけなんですが)──それが何度も出てくる。洋太郎もカオルも涙が出そうになると何度もそれをやる(それを観ていて涙が出そうになった僕もやろうかと思ったくらい)。

そして、カオルが最後にそれを試みたシーンでは、オバアがこう言う。

カオル、我慢しないで、泣いたっていいのさぁ。
悲しい時は、うんと、うんと泣いたっていいのさぁ。

この平良とみの台詞には万感胸に迫る思いがした。『ナビィの恋』から7年。名女優は健在である。この境地に至るまでの道程を描くのがこの映画の使命であったとまとめても良いと思う。

そして、もうひとりのオバア(こっちは祖母ではなく老女の意)を演じた大城美佐子も凄かった。何者か知らずに観てたら最後にサンシン持ち出して歌うんだもんなあ、参った。沖縄弁の歌詞は何言ってるかさっぱり解らないのに、何故だか胸にズシンッと響く。

また、主演の2人が何とも言えず良い。

妻夫木聡は笑顔がとっても素敵だ。バカで単純で意地っ張りだが明るく一本気で人間的な魅力を感じさせる。長澤まさみのほうは、今回は彼女の武器である「泳ぐ目」をそれほど多くは見せなかったが、ややオーバー目の演技であどけなさを目一杯表現していた。泣いても笑ってもどうしようもなく可愛いのはいつもどおり。

この2人がそれぞれ相手の寝顔を見るシーンが1回ずつあるのだけれど、息を呑むようなシーンだった。血が繋がっていないだけにこういうシーンにはドキッとさせられる。

脚本としては、洋太郎やカオルが何を考えてそういう行動に出たのかがきっちり伝わらない部分もあったが、役者陣の圧巻の演技はその欠陥を上回って余りあるものがあった。

思えばこれは三題噺みたいな企画で、まず、タイトルに因んで涙がはらはら流れるような話にしなければならないし、舞台はそうだ、BEGIN の出身地である沖縄にしよう、それで歌詞に沿った設定も入れ込もうか(例えば「古いアルバムめくり・・・」)なんて感じなのだが、そういう意味では、脚本家の吉田紀子は巧くまとめ上げたね、というところ。

僕は本来的に直球勝負の企画は好まない。観ていて「ちょっとは手許で変化させてみろよ」と呟いてしまう。ただ、『フラガール』が140km/h台半ばの直球だとしたら、この映画は150km/h台後半の剛速球だった。

近隣や親戚などとのつきあいが希薄になっている現代でこういうストーリーが成り立つのは沖縄ならではなんだろうか。そういう中である日突然家族を捨ててしまう父親の存在が効いていたように思う。全く共感できない人物であるが、逆に存在感はしっかりと伝わった。

Nadasosoところでパンフの最後のページに、映画の中に出てくるカオルから洋太郎への手紙と洋太郎からカオルへの手紙の実物(?)が封筒ごと貼ってあるのだが、これ、何で手書き文字のコピーにせずに活字にしたんだろ? これは興醒めである。

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

アロハ坊主の日がな一日
Akira's Voice
ラムの大通り
APRIL FOOLS
長江将史~てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ

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Comments

はじめまして!モッピーと言います。
ブログ検索でお邪魔しちゃいました。
私も「涙そうそう」見てきたんですよ♪

血のつながらない兄妹が恋人以上の愛情
で結ばれている感じがして・・・
さすがにラストの場面ではウルウル
しちゃいました^^

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Posted by: モッピー | Sunday, October 15, 2006 at 22:30

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