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Monday, September 11, 2006

9.11から5年

【9月11日特記】 あの時、僕は本社テレビ編成部のトラフィック担当だった。

トラフィック担当というのはどの番組をどの枠で放送するかを決める役割だ。従って、何か大きな事件があった時に、通常編成を続けるか特番を組むか、特番にするなら何時から何時までなのか等を決める役割でもある。

ただし、所謂プライムタイムであるから番組は基本的に全国ネットであり、各局がバラバラな編成をしている時間帯のようにそれぞれの番組をどうするか心配する必要はない。それに、海外での大事件となるとこれはキー局の仕切りになる。だから東京から特番が送られてくればただそれを受けて流すだけのことである。

ただし、この時間帯は大阪局であるウチ発のレギュラー番組が放送されていた。だから、キー局から何等かの相談(あるいは通達)があるはずだった。

あの日のあの時間、僕は家に帰っていた。珍しくテレビを見ていた妻が、「飛行機がビルにぶつかってる」と、別室にいた僕を呼びに来た。

僕もその映像の再生を見た。摩天楼と飛行機が並ぶとどのような大きさの対比になるのか分からないということもあるが、まさか大型旅客機だとは思わなかった。セスナではないにせよ、小型機だと勝手に思い込んでいた。

墜落して上からビルに激突するのならいざ知らず、大型機がWTCに真横から突っ込むなんて想像力が働かなかった。

当時の上司であったU局長から携帯に電話が掛かってきた。

U:「見てるか?」
僕:「見てます」
U:「おい、これ、テロとちゃうか?」
僕:「はあ、テロ? テロですか?」
U:「ああ、俺はテロとちゃうかと思うんやけどなあ」
僕:「はあ」
U:「まだキー局から何も言って来ないか?」

緊急事態の場合、キー局からの第一報の窓口は僕ではなく僕の部下のK君である。「Kのところに何か言ってきてるはずですから、訊いてみます」と言って僕は電話を切った。

僕:「もしもし、見てる?」
K:「見てます」
僕:「まだ何も言って来てない?」
K:「ええ、まだ何も言ってこない来ないんですよ。こっちから電話してみます」
僕:「うん。Uさんがテロとちゃうかって言うんやけどなあ」
K:「テロ!? よくまあそんな突拍子もないことを考え、あっ、2機目がぶつかってる!」

結局その後、準備が整い次第ウチの番組は打ち切って特番ということになった。当初CMが明けたタイミングで開始するとの連絡が来たが、その前に突然打ち切られてニュース・キャスターが出て来た。

あとは明朝6時までノンストップの特番である。

あの巨大なビルが一気に崩落した時、あの時の感覚を何と表現すれば良いのだろう。──凍りついた、背筋が寒くなった、涙が出そうな感じがした、夢を見ているようだった、言葉を失った、強烈な脱力感──どれも当たっている。それらが全部いっぺんに来た。

悪夢のようだった。そして、本当に悪い夢に過ぎなければ良かったのに、と今は思う。

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