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Sunday, August 27, 2006

映画『UDON』

【8月27日特記】 映画『UDON』を観てきた。昨日は日テレ、今日はフジである。

フジテレビは近年ヒット作を連発しているが、僕はあまり観ていない(『県庁の星』以来かな?)。別にCXの映画製作を頭から否定してる訳でも何でもなくて、あまり趣味が合わないというだけのことだ。

でも、この映画のように、観たいと思うものもたまに作ってくれる。本広克行という監督にはことさら思い入れもないが、戸田山雅司という脚本家はちょっとファンなのだ。

しかし、昨日は空席があったのに、今日は舞台挨拶があったせいで朝から満員である。12:00の回を見ようと思って11:00に着いたのだが結局15:00の回しか取れず。4時間待ちはちと辛かった。

映画館に入ってみてちょっとびっくり。高齢者がやたら多いのだ。関西ではおっちゃん/おばちゃん、じいちゃん/ばあちゃんが関東に比べて遥かに活動的なのは確かだが、それにしても多い。

CXもとうとうこういう客層を集める映画を作れるようになったのかと、なんか妙に感慨深かった。

そして、面白かった。とても面白かった。非の打ち所のない脚本だった。俳優たちのアドリブも多かったようだが、やはり脚本の力だろう。遊びを入れ込んだ細かい台詞廻しはまさに“薬味の効いた味”だと言える。

めちゃくちゃギャラが高そうな俳優は出ていないのだが、讃岐うどんの話なのにNYロケはあるは、バリバリのVFXを駆使したキャプテン・ウドンなるヒーローは登場するは・・・。

物語はそのNYロケから始まる。一流のスタンダップ・コメディアンを目指して遥か香川県から渡米してきた香助(ユースケ・サンタマリア)の全然受けないステージ。

結局どこの店でも受けず(あるいは舞台にも立てず)香助は故郷に戻ってくる。生家は讃岐うどんの製麺所。職人気質の父親(木場勝己)と姉(鈴木京香)とパートのおばさんがやっている店。父親は「ここには夢がない。ただうどんがあるだけ」と言い残して去って行った息子を暖かく迎えようとはしない。

一方、香助のほうも父親の仕事を手伝う気などなく、同級生の庄介(トータス松本)の紹介で香川のタウン誌に勤めることになる。そこには前日ひょんなことから一緒に遭難する羽目に陥った宮川恭子(小西真奈美)がいた。

やがて香助たちはタウン誌に地元の讃岐うどん店を網羅的に紹介する“麺通団”の企画を始め、これが一大ブームになる──そんな筋である。ただし、これは単なるうどんの話ではなく家族と友情の物語である。

そもそも選んだ題材が秀逸であるし、上に書いたようにダイアローグ、キャラの描き分け、筋運びのいずれをとってもケチのつけようがない脚本である。非常に凝った設定であり、飽きさせない起伏のあるストーリーである。笑って泣いて心温まる話になっている。生きる希望が沸いてくる。

そう言えば伊丹十三がラーメン屋を描いた『タンポポ』という映画があったが、恐らくあれを抜く出来になっていると思う。

落ち着いて計算の成り立ったカメラワークも良かったし、途中DVEで画面を切りまくって山ほどの映像をいっしょくたに見せてしまう手法なんてROBOTというプロダクション(本広監督が所属する会社。スタッフが非常に若く、うまく行けば30歳手前で監督をやらせてもらえることでも有名)ならではだと思った。あのスピード感と過剰感はちょっと他の会社では無理ではないだろうか。

テレビや映画ではあまり見かけない人だがユースケの父親に扮した木場勝己、鈴木京香の気弱な入り婿になった小日向英世など脇役が非常に良かった。タウン誌の副編集長役の片桐仁(ラーメンズ)が絶妙の味を出していた。

香川県出身の南原清隆・松本明子をはじめ豪華キャストのチョイ役が目白押し。そして本広監督の作品である『サマータイムマシン・ブルース』のパロディがあったり(残念ながらこれは録画したもののまだ観ていないので判らなかった)、そういうサービス精神も大盛のうどんであった。

これは多分今年10本の指に入る作品になるなあと思った。

ところでユースケサンタマリアはいつからユースケ・サンタマリアになったのだろう?
昔は確かナカグロ(・)はなかったはずだ(新聞のTV欄で10文字の1行をひとりで占めるタレントだったはずだ)が・・・。

★ ここから先はネタバレです。これから映画をご覧になる方は読まないで下さい。

ごめんなさい。あまりネタバレは書かない主義なんですが、これだけはどうしても書いておきたかったことがあります。

それは、ユースケ扮する香助が、父親亡き後に麺を打ち始めて漸く父親の味に少し近づくところまで到達するじゃないですか。普通ならここで父親の跡を継いでうどん屋になるところなんですが、彼は結局店を義兄に託して自身は再びNYに旅立ってしまう。──この設定が非常に良かったですねえ。

世界を目指した男が結局は生まれ故郷の魅力を再発見する──そういう筋ではあまりにステレオタイプです。彼は再び故郷を捨て、再び旅立って行ったのです。
僕はこの設定に痛く感動を覚えました。

こういう結末があってこそ、観ている僕らは生きる勇気が沸いてくる、というものではないでしょうか?

★この記事は以下のブログからTBさせていただきました。

It's a Wonderful Life
soramove
APRIL FOOLS

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