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Sunday, August 13, 2006

『さよなら、さよならハリウッド』

【8月13日特記】 WOWOWで録画しておいた『さよなら、さよならハリウッド』を観た。

関西では観たい映画もやっていないので、録画在庫の消化に入ったというわけだ。

ウディ・アレンは好きでよく観る。どれ見ても同じだと言われれば、まあ、そう言えなくもないのだが・・・。

いつものマシンガン・トークである。彼の映画は橋田寿賀子も真っ青の会話劇なのである。しかし、両者の台本を比べると、その出来たるや月とスッポンである。台詞の面白さ、プロットの良さ、風刺の効き具合・・・、説明するまでもないと思う。

映画監督のヴァル(ウディ・アレン)はアカデミー賞を2度受賞した巨匠だが、この10年間は完全に落ちぶれて仕事がない状態。その彼に手を差し伸べたのは彼の元妻(ティア・ルオーニ)。彼女はギャラクシー映画社のプロデューサで、現在はギャラクシー社の社長と(結婚こそしていないが)公然の仲である。

その彼女が「彼ならできる」と反対する周囲を説得して起用が決まったのだが、クランクイン直前にヴァルは突然ストレスから目が見えなくなってしまう。エージェントに唆されて、ヴァルは目が見える振りをして映画を撮り始める──とまあ、こんな筋だ。リアリティはあまりない(が笑える)。そして、最後にはまた見えるようになる(ネタバレだが、これは誰でも予想することなので、まあ書いても良いだろう)。

人民解放軍所属の中国人カメラマンを雇ったり、自分が同棲している女優の卵を無理やりオーディション合格にして起用するとか、いろいろ笑える設定が作ってある。

今日気づいたのだが、僕はウディ・アレンの映画を見るとき、いつも速射砲のようなあの台詞に気をとられて(そして、できれば英語を聞き取ろうとしているために)カメラワークなどの点にはあまり注意が行っていない。

確かに大部分が会話劇なので人物の2ショットが多く、別に凝ったところもない画が延々続いていたりする。ただ、肝心なところになると、例えばこの映画で言えばヴァルが視力を回復するシーンとか、最後のタクシーのドアを開けてのキス・シーンとかでまことに美しいシーンを構成しているのである。この辺りが非常に侮れない気がする。

そして、台詞の面白さ(特に英語がちゃんと聞き取れたところでは面白さが倍加したりする)。僕自身はニヤッとしか笑えないのだが、アメリカ人の観客が腹を抱えて爆笑している声が聞こえるような気がするシーンがいっぱいあった。

皮肉と風刺。最悪の事態でもちゃんと飛び出してくる不謹慎なアメリカン・ジョーク。そして、何よりも自分を笑いものにする彼の精神にはいつも敬服する。

自分の劣等感をちゃんと認識し、自分をコケにする志向を失わずにいること──このウディ・アレンの姿勢こそ、僕が常に真似たい姿勢である。

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