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Wednesday, August 30, 2006

下着泥棒とカール・マルクス

【8月30日特記】 下着泥棒を捕まえたら犯人の家から2,500枚の女性の下着が出てきたというニュース。ひえー、こりゃ筋金入りのフェティシストのコレクターだ。

フェティシズムというのは、男性が本来性的刺激を受けるはずの女性の肉体そのものではなく、その肉体を包む下着みたいなものに魅かれてしまうという、言わば本末転倒の欲望である。

大学時代にマルクスの『資本論』(今では随分旗色が悪くなってしまった書物だ)を読んでいた時に「貨幣の呪物的性格」「貨幣の物神性」(岩波と大月で訳語が違っていた)という言葉が出てきて、この概念が難しくて随分と悩んだ記憶がある。

本来貨幣は物の売り買いを仲立ちする媒介でしかないはずのものなのにいつしか貨幣自体が価値を持っているかのような錯覚に陥る(それゆえひたすら貨幣を獲得しようとする)状態を表したものだ。

頭では理解できたような気にはなるのだが、今ひとつイメージが掴めないまま卒業してしまった。そして、ある時ふと気づいたのだ。

あ、この「呪物的性格」「物神性」の原語は「フェティシズム」なんだ、と(もちろん原語は英語ではなく独語なので fetishism ではなく fetischismus なんだろうけど)。

その後、この単語は「フェチ」と略されて人口に膾炙するところとなった。当初は性的な意味に限定されていたが今ではかなり拡大解釈されている。

もともと fetish というのは性的な意味の単語ではなく、「本来は神様の代わりに礼拝するために偶像を作ったのにいつしか偶像自体を崇拝してしまう状態」の意味であった。

手許の辞書にはこうある。

fetish: inanimate object worshiped as magic

それを経済学に充てはめたのがマルクスで、それを性的な意味に解釈したのが誰なのかは知らないが結局その用法が主流になり、その用法を知って初めて僕はマルクスのイメージを掴んだのであった。

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